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はやし蜜豆の犬も歩けば棒に当たる、

好きな俳優の作品を集中して観るのが好き。その記録や映画の感想、日常気になる現象をぼそぼそ綴っていきます。

「シンシン/SING SING」(2023年):実話に基づくお話はまるでドキュメンタリーのよう

”ニューヨーク州にあるシンシン刑務所で実際に行われている収監者更生プログラムである舞台演劇を題材に、ここに収監された男と収監者仲間たちとの友情を実話を基に映画化
キャストは主演のコールマン・ドミンゴなど数人のプロの俳優以外は、全員がこの更生プログラムを受けた元収監者たちである
(以上、Wikipediaから引用)

上記について知っていたのに何を勘違いしたのか、私は勝手に刑務所にいる収監者たちによる素晴らしいパフォーマンス、それに至るまでのメンバー一人一人の葛藤や友情や絆を描いた映画だと思って観たのだった。たぶん、タイトルの「SING SING」につられて、歌のパフォーマンス?と思い込んでいたフシがある。SING SINGとは、ニューヨーク州にある歴史ある刑務所のことだった。
メンバーの葛藤や友情や絆は間違っていなかったけれど、”素晴らしいパフォーマンス”は、ここではフィーチャーされていなかった。

収監者たちの更生プログラムのひとつ、RTA(Rehabilitation Through the Arts )は、素晴らしいパフォーマンスがゴールではなく、公演=舞台に立つまでの過程において、自らを見つめ、律すること、仲間との協調を身に着けていくことが目的だ。まるでドキュメンタリーのように、演劇や自己開示などのワークショップを淡々と映し出し、そこにものすごい演技派がいるわけでも、ダンスがすばらしい人がいるわけでもなかった。

 

主人公のG(コールマン・ドミンゴ)は無実の罪で収監され、RTAの更生プログラムの創立メンバーとして熱心に仲間とプログラムを遂行している。次の演目の始めようかというときに、ムショ内でも札付きの”ワル”、クレランス(本人)が参加してくる。ナイフを隠し持っていたり、ムショ内でドラッグを取引していたりと素行の悪いクレランスだったが、Gは稽古場でクレランスを助け仮釈放のためのコツも与え、彼の更生を助ける。
Gの理解者でもあったマイク・マイク(ショーン・サン・ホセ)の病死や、G自身の無罪申告が否決されるなど、Gにとってはやるせないことが起こるばかりだったがー。

 

生来のサイコパスや病的”癖”みたいなものがない限り、多くの人が貧困や家庭の不幸をきっかけに犯罪に手を染める。人を殺そうと思うことと、実際に殺すことの間には、ものすごい大きな河があると思うけれど、その河を越えることは条件がそろってしまえば誰にでもあり得ることなのかもしれない。ということは、罪を犯した人々が何等かの助けを得て更生するチャンスだってきっとあるのだ。
演劇を通して、クレランスの表情が変わっていくのが印象的だった。

 

Sing Singという刑務所の中、RTAという更生プログラムのこと。今まで特に興味をもったこともなかったことをちょっぴり知ることができた映画だった。

シンシン/SING SING(字幕/吹替)

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「ジェフ」(1969年):アラン・ドロンの、”ザ”・フィルム・ノワールって感じでした

”ザ”・フィルム・ノワールって書いたけれど、フィルム・ノワールの定義をWikiでにわかにチェックして、まさにそんな映画だったなあと思った次第。

用意周到に宝石商からダイヤを盗んだ強盗6人。リーダーのジェフにダイヤの換金を託し、数日後に再会して山分けするはずが、ジェフが約束の時間になっても現れない。
ジェフが最近仲間に入れたローラン(アラン・ドロン)だけがジェフを信じると主張し、ほかの4人と行動を分かつ。

4人はジェフの情婦、エバ(ミレーユ・ダルク)を拷問してジェフの足取りを追おうとする。一方ローランはエバを助け、ジェフを信じる二人はほかの仲間に追われながらジェフを探す。その逃避行の中で二人は惹かれ合い・・・

ネタバレするが、ローランはもともとジェフとグルでほかの4人を欺いて、2人で金を山分けする予定だった。エバを愛したことで、そしてジェフがいなければエバを自分のものにできると思い、ジェフを殺しに約束のコテージに行ったローランだったが、結局エバは自分を娼婦の身から救ってくれたジェフを裏切らなかった・・。

公開当時、フランスでは大ヒットしたらしい。
二人が逃避行する間、(観客にとっては)登場しないジェフという人物を追って、さまざまな人や場所を訪れる二人と、追手との攻防。思い返せはそれがスリリングで面白かった。特に養蜂家を訪ねて追手との撃ち合いになった時、蜂を使った殺しのシーンは強烈だったかも。

美しい顔立ちで女には優しくて紳士、そして仲間を裏切ることに躊躇のない”ならず者”ローランにアラン・ドロンがぴたりとはまる。ミレーユ・ダルクの人形のような体型と可愛い顔も見目麗しく、二人が本作での共演をきっかけに付き合い始めたというのもさもありなん。どこからみても美男美女のカップルだった。

90分間、ハラハラする逃避行の成り行きとテッパンに美しい二人を拝めた、そんな映画でした。 

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「小さな私」(2024年):主演俳優ジャクソン・イーのレベチの演技は必見

Netflix の作品紹介を見て、本当に障害がある人が演じているのかと思ったのだが、主人公リウ・チェンフーを演じたのは、イーヤン・チェンシー/ジャクソン・イーという中国のアイドルグループTFBOYSのメンバーだという。アイドルグループのメンバー???

メイクと表情の演技により、さわやかなイケメンは封印され、意思に反して動く首、表情、独特の歩き方―脳性麻痺を患う青年を完璧に演じた。その演技があまりにレベチで、ついイー・ヤンチェンシーでググったら、子役時代からドラマや映画に数多く出演しており、中国の戯劇学院の演劇専攻に首席で合格したテッパンの経歴の持ち主だった。

 

脳性麻痺で体が不自由に見える人でも、全ての人が知的障害を持っているわけではない。イー・ヤンチェンシー演じるリウ・チュンフーは、祖母に生活を助けてもらいながら教師になるための大学を目指している。同時に、祖母が参加するシニア合唱団の太鼓の担当もすることになり、老人たちと一緒に演奏練習にも励む。両親がいないのはなぜだろうと思ったが、あとでわかったが母親は第2子を産むためにリウを自分の母親に預けていたらしい。リウに弟か妹ができるということは内緒にして。。

障害児を持った母親の苦悩はわかるが、リウのことを弱者と決めつけ、彼の意志を全く尊重しないのはひどすぎる気がした。一方で、孫の可能性を信じて愛情深く見守る祖母の大らかさには救われた。しかしその祖母にも、自分の娘に対して消えない罪悪感がある。物語は複雑な親子関係を描きながら、落ち込んだり喜んだりしながら、それでも一歩一歩確実に成長していくリウの姿をまるでドキュメンタリーのように追う。
映画は障がい者とお年寄りという社会の中の弱者を物語の中心において、現代中国社会の日常の一端を見せてくれた。

太鼓の練習中に偶然知りあった女の子。彼女とのデート”もどき”。ダメ元で受けたカフェの面接後、採用されたこと。障がい者雇用で採用されたのは承知だが、それでも労働は人に尊厳を与える。リウが祖母と喜ぶ様がまぶしい。

心のわだかまりをリウが母親にぶつけるシーンでは心が痛み、リウが祖母から巣立とうとするシーンでは心が震えた。

 

何事もはっきりとモノをいう国民性なのか、障がい者に対しても容赦ない厳しさ。だけど逆に腹の底に収めたような陰湿さも感じられなかった。
中国でもオレオレ(特殊)詐欺の電話が老人にかかってくるし、カフェの店員は若者にとって憧れの仕事。リウがスマホの扱い方をお年寄りたちにレクチャーするシーンなど、今の日本とあまり変わらない情景に親近感を覚えた。

監督・プロデューサー、脚本、全て女性。主な登場人物も、主演のリウ以外は祖母、母、女の子、と舞台挨拶の動画を見たが女性が目立った。男性優位の日本の映画製作の現場と比べてちょっといいなと思った。東京国際映画祭で観客賞を受賞。

最後に、イー・ヤンチェンシーの演技は本当にすごいから、Netflixに入っている方は是非チェックして欲しい。マジ、すごいから!

www.netflix.com

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「ラムネモンキー」-5:最終話、驚きの事実でこれまでのモヤモヤがすっきり回収されました

"こんなはずじゃなかった"大人たちの再会と再生を描いた「1988年青春回収ミステリー」(公式ページより)
反町隆史、大森南朋、津田健次郎のオジサン3人が主役で、若手では福本莉子と濱尾ノリタカ。あとはとにかくゲストが多かった。思い出せないくらいだけど、ラストですごいキーマンの役を演じていた梶原善はやはり印象に残った。今回もいい仕事していました!

 

中学生時代、映画研究会でカンフー映画の撮影に明け暮れていた3人が、36年後地元の工事現場から白骨が発見されたことをきっかけに、顧問の女性教師の失踪の謎に迫りながら、忘れていた大切なこと、思い出を蘇らせていく。
そして50歳を過ぎた現在、仕事や家庭が順調にいっているとはいいがたい3人のオヤジが、その大切なもの=中学生の彼らが持っていた真っすぐで正直な気持ちを思い出し、今の矛盾だらけの現状に白黒つけていく。

仕方ない。こんなもんだ。○○のせいだった。言っても(やっても)無駄だ。

経験が示すやらない理由をたくさんつけて面倒なことを避けがちな大人たちに贈る、あの頃みんな持っていたはずだった単純で純粋な心。物語を通してその一点を伝えることが本作のテーマだったのではないか。

最終話ではこれまでのストリーを覆すような大展開にびっくり。と同時に見事な伏線回収にブラボー!!もう1回最終話を見返したくらいだった。

私にとっては、Bialystocksという素晴らしいアーティスト・ユニットを知ることができたのも良かった。
ドラマの主題歌だけでなく音楽も担当しているので、あの新しい展開、新事実提示!のときの、ジャジャジャーンという低音のギターもそうなのだろうか。あれもワクワク感を誘い耳に心地よかった。もちろん、主題歌「Everyday」も!(しつこい)

毎週ワクワク欠かさず見た、私にとっては楽しいドラマだった。

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「リブート」-2:スピードとスリル満点のドラマは予定調和な結末だけど・・

妻殺しの容疑をかけられたパティシエの早瀬陸(松山ケンイチ)が、悪徳刑事の儀堂歩(鈴木亮平)に顔・体型を変えてなりすまし(リブートし)逃亡、真犯人を探し出し自らの潔白を証明して家族の元に帰るべく奮闘する物語。

それを手助けしたのが、陸の妻が働いていた組織の後任会計士の幸後一香(戸田恵梨香)だったのだが、彼女が陸の見方なのか裏切者なのか、途中二転三転して注意深く追ってないとわからなくなる。

ネットでは、早々に一香が陸の妻、夏海(山口紗弥加)ではないかと冴えた考察が回り考察合戦が展開された。(最後、再リブートして元の姿に戻るかと思ったが、そこまでドラマの中でも整形技術は進んでなかった)

警察組織に潜伏する”犬”や、味方なのか敵なのか不適なたたずまいの真北管理官(伊藤英明)の存在など、全く気の抜けないスピーディで複雑な展開に正直ついていっていなかった私。
最終回を終えて主人公の周りは一応ハッピーエンドのようだったが、人殺しの罪をおっかぶってたぶん死刑になった、Mrs. GREEN APPLEの藤澤涼架が演じる直斗や、妹を救おうとして殺された本物の一香、潜入していた組織に殺された本物の義堂は気の毒過ぎる。

そして、罪を逃れ、大儀を貫いてシェルターの活動を続けている冬橋(永瀬連)のリブートした姿が北村匠海っていうのも、なんかスゲーなと思った。

一番見ていて楽しかったのは、酒向芳演じる悪徳弁護士海江田のリアクション。
いやらしいエロオヤジかと思えば、組織の金をちょろまかし制裁に怯えるじじい。そして最後はちょっといい人だったりして・・。間違っても好人物とは言えないが、とにかく憎めなくて面白かった。
本作の酒向芳はマジ最高だったな。そのうち、朝ドラに主人公のお父さん役あたりで出演してくれないかなと願っている。

 

※おまけ
私の中が見た酒向芳の演技の1番は、舞台「フェードル」での王子(林遣都)の養育係のテラメーヌのラストの長台詞。情景が頭に思い浮かび、本当に素晴らしかった。
当時心酔していくつも書いた「フェードル」の感想のひとつはこちら。テラメーヌに触れています。

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「ばけばけ」- 6:神最終回!本当にスバラシイ!

ヘブン(トミー・バストウ)が亡くなった後の最終回、トキ(髙石あかり)がヘブンとの思い出を語り、それは1冊の本になった。それを告げる演出と同時にハンバート ハンバートのテーマ曲「笑ったり転んだり」が流れた瞬間、もういけない。その前のトキの号泣にもらい泣きしたばかりなのに、曲とともに流される二人の回想映像に嗚咽するほど泣いてしまった。

 

ヘブンとの思い出を1冊の本にするために語り始めたトキだったが、振り返れば振り返るほど自由な生き方を好んだヘブンを日本に、松野家に縛りつけてしまったと後悔しか出てこない。言葉が100%通じ合っていなかったこの夫婦は、お互いを思いやる心だけで関係を続けられていたが、後から考えるとちゃんと思いは伝わっていたのか、まるで自信がないトキだった。

だけどチグハグな会話の連続でも、トキの話す怪談をヘブンは心で聞いたのだろうか。二人で素晴らしい怪談集を残した。

 

ずっと一緒にいるという事実が、言葉による理解よりも二人の絆をより深めていく。夫婦というのは、そういう関係なのかもしれない。

ヘブンは教師や執筆の仕事の収入のすべてを松野家に注いでいたけれど、もともと根なし草のような彼に、かけがえのない家族をくれたのは、トキと松野の人々だった。結局、どちらかがたくさん何かを与えているのではなく、お互いが与え合っており、一緒にい続けるということは、お互いが与えるものの均衡が取れているということだと思う。

心温まる夫婦の物語は、夫婦という関係性についての気づきをくれた。

 

映画のようなお芝居のような大ラスの演出も心憎く、二人の物語がずっと続いているようで、涙とともにほっこり楽しい気持ちになった。

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「10DANCE」(2025年):竹内涼真と町田啓太の圧巻のダンスで競技ダンスの過酷さを知る

原作漫画はまだ連載中・・・とのことで、本作もラストシーンを見て!えっ、終わらんの?と拍子抜けしてしまった。そして同時に、町田啓太と竹内涼真はよくこの役を受けたなあと思った。
竹内涼真はたぶん普段より10キロ近く痩せていたのではないか、しなやかな筋肉が光る素晴らしい肉体美を披露。そしてむき出しの愛を踊る激しいラテンダンスをこなしていた。町田啓太のスタンダードダンスにおける正確なポジションとステップももはや人間離れしていた。
ラストシーン、男二人が組んで踊るのもあり得ない光景だったが、それはそれは圧巻で美しかった。

 

競技ダンスの中で、スタンダードダンサーとして世界2位の杉木信也(町田啓太)とラテンダンサーとして日本トップの鈴木信也(竹内涼真)。交わることのない二人だったが、そのそれぞれの競技にある5種目を合わせ、10種目で競う10DANCEで世界トップになることを目指し、お互いの種目を教え合うことになる。
性格も生き方もまるで違う二人は最初反発し合うが、練習を重ねるごとお互いの才能と人間性に惹かれ合う。

この惹かれ合った理由について見終わってずっと考えていた。

杉木は、鈴木の全身から発する”生”そのものの(情)熱に、たぶん手を合わせて踊る前から惹かれていたと思う。
鈴木は、手を合わせて踊り、身を任せた時に感じた杉木の孤高と孤独にやられたのだろうか。
社交ダンスという男性が女性をリードする競技。杉木のリードは「支配」「征服」にほかならず、鈴木もラテンダンサーとしてリードしてきたのだ。二人は相手の、情熱を、孤独をコントロール(支配し、慰め)たいと望んだのかしら・・・。
彼らの域でないとわからない、常人では感じられないものがあるのだろう。

竹内涼真、町田啓太のダンスシーンや演技は言うまでもなく出色。
また演るとしても1年以上は開けないと、体から作らないといけないからと言っていた二人。トップダンサーとして魅せきった俳優たちの役者魂に敬服するしかない。

 


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