二人の大人の男の押さえた演技が静かに胸を打った。特にラストシーン。
映画でヒュー・ジャックマンとラッセル・クロウ、アン・ハサウェイの名演を観ているだけに「レミゼ」を現代に置き換えてドラマ化するなんて、実はあまり期待していなかった。
しかし、主な登場人物の役割は残しつつ、大胆に事件や状況を現代の日本に置き換えたストーリーが本当に良くできていた。フランス革命後の混乱情勢を2度の震災に、別人になって生きることを亡くなった親友になりすますことに。貧しさを弟の病気が原因とし、パンの窃盗は正当防衛の殺人に。
さらに登場人物を原作と照らし合わせて楽しめたし、ほとんどの役を元の登場人物のキャラクターに則って演っているのも面白かった!特に長谷川京子と金子ノブアキの、コゼット(ドラマでは梢)をあずかる悪人夫婦が最高!
久しぶりに見たハセキョウがホント素晴らしい!はすっぱで意地悪で、根っからの性悪を熱演。期待通りの金子と、最後まで息ピッタリの悪ぶりに感動さえ覚えた。
おディーンが、キラキラのハンサムオーラをすっかり打ち消し、完璧に人の良いおじさんになっていた。物静かな善人顔の下に、自分を偽って別の人間を生きる罪悪感や猜疑心が覗くのも説得力がある。おディーン、演技上手くなった?!
前回のモンテ・クリスト伯の時は力が入り過ぎてやり過ぎ感があったけど、今回は台詞も少なく押さえた演技に撤していて新しいディーンを見た気がした。
最後の方、復讐に燃える心だけで何年も馬場純(=ディーン)を追って生きてきた井浦新演じる刑事が、呆けた母親(かたせ莉乃!気弱な役が全く珍しい、けど良かった)と交わす会話と、たぶん劇中初めて見せたと思われる彼の微かな笑顔に救われた。