「チェリーボーイズ」を観た後だけに、お肌ツルツル、真っ白、ポキポキ青年、19歳(撮影当時)の林遣都に安堵。
友人の死をきっかけに若かりし頃の自分の夢(スピリッツ)を再び取り戻す旅に出た父親(佐野史郎)、その父親を初めて理解しようと、若かりし父の旅の軌跡を追ってニューヨークに降り立った息子(林遣都)。堤監督がヒッピーやロックを生んだ50年代のアメリカ文化"BEAT"(ビート・ジェネレーション)の影響を受けた佐野元春の音楽にインスパイアされて撮った作品で、全編佐野元春の音楽と共に、父親パートではブラジルでのロードムービーが、息子パートでは、ニューヨークでビートを紐解く旅が始まる。
父親の佐野史郎(北村)とバディとなるガイドのコンビ、林遣都(ハル)とガイドとなるハーフの学生、長渕文音(デイジー)のコンビが本当にいい。林遣都の等身大の自然な演技、長渕の達者な英語が違和感なく、まるでドキュメンタリーを見ているようだった。
高校、大学で佐野元春を聴いた私は、学生演劇のお芝居の、あるシーンで佐野元春の曲を使ったことを思い出した。当時流行っていた佐野がビートという思想の影響を受けていたことなんてまるで知らず、本作品で初めてビート・ジェネレーションという言葉を知った。今の若者であるハルとデイジーのビート・ジェネレーションに対する憧憬みたいなもの、そして今を生きる自分たち(ビートの世代である父親たちを含む)への流れ。途切れたように思えたものも実はどこかで繋がっているスピリッツの尊さのようなものを感じて、豊かな気分になった。
あの時使った佐野元春の、あの曲の出だしと歌詞を今でも覚えている。ああ、確かにあの曲も、ビート・スピリッツが色濃くうつされたものだったのかも知れない。ピアノの弾き語りのような…。ドヴァンナのアパートメント…から始まる、、。
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