全編にわたり、怒りに支配された衝動が負のスパイラルで展開し、いったいその先に何があるのだ?と最後まで予想がつかなかった。
住人同士がその家の事情を大方把握しているような、アメリカ南部の田舎町で起こったレイプ殺人に端を発し、犯人が捕まらないことを警察に抗議するために、母親が3台の広告(ビルボード)を出す。それがきっかけで南部の田舎町が抱える人種差別やマイノリティへの偏見、つまりアメリカが抱える問題をあぶりだしていく。
こういう映画を観ると、アメリカ人の保守的な一面と、その現実を突きつけられガツンとやられる。
母親役のフランシス・マクドーマンは、アカデミー主演女優賞を受賞。南部の女の強さをガタイで、娘を亡くした母親の怒りと悲しみを圧倒的な演技でスクリーンに存在させた。口論の末、娘を外出させ死なせてしまった母親の後悔はとても他人事とは思えず、同じ娘を持つ親の心臓を錐で突き刺す。
映画の中では結局犯人は捕まらないままだったが、かつての敵は同士になったり、仮に敵とした人間が死して支援者となったり、閉鎖された小さな町での人間関係は、その中で変化し、善きにも悪きにも育っていく。でも最後は想像できる最悪の結果ではなく、人が持つ"善"の方向に向かっている、そう思えた。薄い一筋の光が見えたラストだった。
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