こっ、これはまるで男版"おしん"ではないか…!
林遣都演じる主人公松吉(元は武士の子息で仇討ちで父親を亡くし、寒天問屋の主人和助に助けられる)が、”三つ子の魂百まで”というように叩き込まれた武士の魂はそう簡単に抜けるものではない。丁稚としての生活はなかなか厳しく、可哀そうなことになっている。
銀二貫で助けられた松吉のせいで、焼失した氏神さまの天神さんにも寄進できず、商売も上手くいかないと手代に嫌味をいわれる。ひとり夜更けを歩く松吉は、先日梅の枝を拾ってやった真帆(芦田愛菜)と偶然合う。
この孤独な小さい者たちの心の奥で情が通い合うシーンが本当に素晴らしかった。真帆も母を早く亡くし、店を開いたばかりの料理人の父親(ほっしゃん。)にかまってもらえず寂しくしていた。松吉も自分の天涯孤独の身を思い、真帆の母親を思う気持ちと重ねて思わず泣いてしまう。「すんません。」と言いながら泣く15歳の少年の背を10歳(くらい設定かな)真帆の小さな手がさするのよ。「大丈夫?大丈夫。」
その前の真帆を慰めるために、松吉が両手で月を掴むシーンも素敵。柔らかくてしっとりしていて淡い恋の始まりを予感させる。15歳に見えてしまう、純粋で強い光を放つ目の遣都も相当いいのだけど、芦田愛菜は子役には見えんな。マジ。