なんという”傑作”!
描かれた近未来の冷たく美しい造形と"希望に満ちた"悲劇的ストーリー。
20年前の公開終了後偶然観たこの作品、若かりし頃のイーサン・ホークとユマ・サーマン、そしてジュード・ロウの3人の美しさと、ストーリーのインパクトだけが記憶にずっと残っていたが、内容そのものをすっかり忘れていた。
久しぶりに今回WOWOWで観たのだが、こんな話だったんだ!
遺伝子操作により、より優れた人間を創るようになった近未来、無計画に自然に生まれた"神の創った子"は、遺伝子を操作されて生まれた子供より全ての面で劣っていた。
これは両親の無計画で生まれ、社会的に不適格者の烙印を押された青年ヴィンセント(イーサン・ホーク)が、ほぼ完璧な遺伝子を持ちながら事故で車椅子生活となった元水泳選手ジェローム(ジュード・ロウ)の生体(血液や尿、心拍数のデータまで)を借りて、適格者でないと絶対に成れない宇宙飛行士になり、Gattaca(宇宙局)に入り土星に飛ぶまでの話。
遺伝子情報さえ的確であれば、疑われることなく完璧な宇宙飛行士として期待され、成績は本人の努力によりクリア。土星に飛ぶまで残り1週間というときに事件が起こり…。
遺伝子に逆らって逆らって、努力で夢に近づいて行くヴィンセントが痛々しい。幼い頃から適格者として生まれた弟との体格、体力の差。兄弟の遠泳競争ではじめて弟に勝った時、彼は家を後にした。
遺伝子により敷かれた人生のレールは変えることができる。それを証明したのがヴィンセントだとしてら、遺伝子により金メダルを取ることが約束されていたジェロームが銀メダルに終わったのは、運命は変えられないことの証か。ジェロームは銀メダルの後、車道に飛び込み半身不随となる。この超エリートの屈辱もまた想像を超えるものだろう。生まれながらにエリートとして歩んできた者の負を知らない美しいまでの自信と、挫折した者のゆがんだプライドが交錯する様を、若いジュード・ロウが見事に表現。たぶん、この作品で私はそれまで知らなかったジュード・ロウという俳優をチェックするようになったのだと思う。
ラストは、冒頭に書いた通り”希望に満ちた”悲劇。敢えてここでは書かないが、なんとも心にずっしりときたテーマだった。
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