16年前にメキシコで発生したゾンビが瞬く間に世界に広がり、一時人類はパニックに陥るも、彼らの動きが緩慢で襲われる前に逃げられること、ワクチンの開発で予防接種により感染を防げることで人類はゾンビと共存する時代になっていた。各自治体には、時々発生するゾンビを保護し管理施設に送る特別福祉課が設けられ、主人公、赤羽晋助(林遣都)は俊足をかわれて所属している。
なんともB級感ただよう荒唐無稽な設定なのだけど、これが侮れない!テレビ東京の「ドラマ24」枠‼(そう!あの「きのう何食べた?」の)ゾンビ退治のコメディかと思いきや、回を追うごとに笑いよりホロリ、メインキャストの晋助の後輩、立花凛(広瀬アリス)までゾンビにしてしまう容赦なさもあり、なかなかの人情噺に展開していく。
最近ネットのドラマ評価でよく使われる”神回”という言葉があるけど、まさにそれが第6回の「あるお笑いコンビの憂鬱」。こんなところに「火花」の原点があった!!と思わずあの良作ドラマの徳永(林遣都)と山下(好井まさお)の最後の舞台が頭に浮かんだくらいだ。
人気上昇中の芸人コンビが、ゾンビに感染していく相方と"てっぺん"を目指すために最後の舞台に挑む話なのだけど、コンビ結成の秘話から最後の舞台に至るまで、これが泣かすんだよね。もちろん、姿形がおかしいものだから落涙にはならなかったのだけど、話の中で見守る特別福祉課の面々(遣都たち)は号泣だった。
さて、収束したかに見えたゾンビ発生だが、どうやら”新種”の存在が認められ、これまでのワクチンが効かず、感染から発症までが異常に短期であること、腐りながらも体の機能や一部が特別に進化していることがわかり、晋助たちの活躍(?)が増える。
ゾンビを"死なないご遺体"と呼ぶ世の中、はからずもゾンビになっていく人たちの悲しみと家族の悲しみに触れていき、人間的な成長を遂げていく晋助を、林遣都がピタリとハマる弟キャラで好演。
デビュー間もない(たぶん)広瀬アリスのポッチャリ感も可愛らしく、役柄からの一生懸命感も初々しい。
最終回はゾンビになりながらも、開発されたワクチンで回復し、でも時々免疫が切れてゾンビ化しちゃう凛(アリス)を、たぶん恋人として面倒見ている晋助(遣都)のツーショットで明るく終わり、なんとも後味がいい。
ともすれば排除されそうな気色の悪いもの(いや、ゾンビって究極だよね、だってどんどん腐っていって強烈な悪臭を放ちながら、完璧なゾンビになると人を襲い肉を食らうんだからね。)を受け入れる博愛の精神が根底にあるのだから!
遣都、24歳くらい。ここでも全くイケメンを演っておらず、ゾンビをビビりながら拘束し、ゾンビに同情する心優しいへなちょこ青年。色白が設定的に変なのか、ドーランで色黒にされていて、全力疾走する様が実年齢より若く見えて可愛かった。