何かのインタビューで吉田鋼太郎が「何ひとつラクなシーンはなかった」というようなことを言っていたと思うが、劇場版の黒澤部長(吉田)を観ると、確かに納得せざるを得ない。
黒澤部長の一途さと可笑しさは、鋼太郎さんの絶妙なタイミングと大真面目な演技で唯一無二なものとなって、物語の中の重要なエレメントとなっている。彼の発する小さな「あっ」から「なんてこったーー!」の絶叫までが、あり得ない展開や、ちょっとはしょり過ぎやろ!の突っ込みどころにリアリティを持たせ、物語りに引き込まれていくのだ。
笑いの部分は、黒澤部長と春田が中心になって担っていると思うが、春田が受けだけではなく、主体的に人を想うシーンがあるだけに、黒澤部長周辺での笑いのほうが多かったように思う。そして吉田鋼太郎の黒澤部長は、まるで大きな釜をかき混ぜる太い棒のように、ぐるぐると休みなく力強く回り続けていた。周りを笑いで吹き飛ばしながら。
すごいよね。最高でした!鋼太郎さん。