はやし蜜豆の犬も歩けば棒に当たる、

好きな俳優の作品を集中して観るのが好き。その記録や映画の感想、日常気になる現象をぼそぼそ綴っていきます。

「楽園」(10月18日公開)

綾野剛主演と謳っているが・・・。

綾野演じる主人公豪士が何者であるか、何を考え何を欲して生きていたのか、最後までわからなかった。それだけではない、この作品、田舎のY字路で疾走した少女の事件に端を発しているのだが、最後までその少女がどうなったのか(たぶん殺されたのだろうが)犯人は誰なのか、その判断を観る者に委ねている。

吉田修一の短編「犯罪小説集」の中の2編を元に作られているとのことだが、ある地方の村という”土地”で2編のストーリーをかろうじてつないでいる感じがした。

 

綾野剛の出演作をたくさん観ているわけではないが、悲しくて寂しくて、その傍らにささやかな怒りを抱いている弱弱しい青年、こんな綾野もいるんだなと驚いた。

疾走した少女と最後にいた友達として、事件後傷ついたまま大人になった紡(杉咲花)が閉塞感ただよう地元を飛び出し、消えない過去と理不尽な現在を抱えながらも生きようとする姿勢が唯一の救いか。彼女に思いを寄せ、ずっとつかず離れず寄り添ってきた広呂(村上虹郎)の笑顔も良かった。

 

それと、書かずにはいられない、綾野剛演じる豪士の母親役に黒沢あすか!

今回は外国人の母子家庭の母親として、ひ弱な息子をかばう母親を熱演。もう本当にうまい。素晴らしい。主役級でないにしても存在感が半端ない。いつ見ても、そういう女がいる、というリアリティ。リアリティを超えるすごみ。特に今回は、どんな不幸が襲ってこようがガンとして生き続ける力強い女、アジアの女の情の深さとしたたかさが見事。私が最近観た作品では影を持った母親役が多いのだが、いつか、はじけた、あっけらかんとしたオバサンを演る黒沢あすかを観てみたいなと思う。

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