1990年代のIRA(北アイルランドのイギリスからの独立を主張する組織)が絡む映画って、登場人物の背景にIRAがあるという理由で物語の始まりがあったり、物語が悲劇に終わったりするんだけど、IRA組織が物語に関与するディテールは端折られることが多く、すべてIRAだから、で済まされている気がする。(そんなに多くIRAものを見ているわけではないのだが。)
例えば、本作。
ブラッド・ピット扮するフランキーがIRAのテロリストになる理由はきちんと描かれている。しかし、北アイルランドでの抗争の後、アメリカに武器を調達に来たフランキーたちの計画は途中で狂ってくる。誰かが彼らの動向を漏らしているらしい、というのが幾度か劇中でささやかれるが、その黒幕が最後まで暴かれることはなかった。潜伏先を手配したアイルランド系判事一家や、武器商人など関与する黒幕らしい人は十分登場するのだが。。やはりテロリストをマークしている英国政府の公安機関が関係するのだろうと想像するしかない。なんか、そのあたりがサスペンスものを見ている者としては、モヤモヤするところなのだが。。
さて、1997年に公開ということは、ブラビ御年33歳か34歳で撮影していることになるが、いやいや20代に見えました。テロリストとしての戦闘シーンは、ワイルド全開で超かっこいいし、アメリカで潜伏している時の優しい青年を演じているブラピときたら、吸い込まれそうなグリーンの瞳と金髪、若くてピッカピカでした!
フランキー(ブラッド・ピット)をテロリストと知らず、家の地下の部屋を貸す実直な警察官トムをハリソン・フォード。ハリソン・フォードこそ無敵の印象が強いけれど、今回ばかりは誠実で真面目だけが取り柄、犯人に向けて発砲したことは23年間の警官人生で4回しかないという堅物。(アメリカの警察官はすぐ発砲する印象があるけど、実はこの映画で描かれたトムのような警官も結構いるんじゃないかと思えた。)
少年の時、父親を目の前で殺されたフランキーと、3人の娘に恵まれたが息子はいないトム。家族ぐるみで付き合う中、トムがフランキーを息子のように思えてくるのも無理はない。
フランキーの正体がバレた後の2人の対峙は悲劇的なもの。
銃の扱いに覚えのあるフランキーは、トムへの銃口を急所を避けたと思われるし、一方のトムは銃撃になれておらずぶっ放した1発はフランキーの左胸を至近距離で射抜いた、、、。
IRAの戦士の悲劇を描きたかったのか、テロリストでも平常時は普通の青年であること、その青年と普通の家族との温かい交流を描きつつ、仮面の下にはテロリストとしての任務を遂行し続ける”デビル”の顔があることを言いたかったのか。
よくわからなかったけど、IRAもの・・・ってことで私の中では括られ、消化することにしました。しばらくたって、かなり大昔ブラピを追いかけていたころ、これTSUTAYAで借りて観たことがあるかも、って思いました・・・。
マジカッコいいブラピ作品は数多くありますが、こちらもその1作。ブラピファンにはお薦めです。