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はやし蜜豆の犬も歩けば棒に当たる、

好きな俳優の作品を集中して観るのが好き。その記録や映画の感想、日常気になる現象をぼそぼそ綴っていきます。

「検察側の罪人」(2018年)

木村拓哉主演のフジテレビ開局60周年企画「教場」を見る前に、俳優としてのキムタクを予習するためにも本作を観た。嵐の二宮和也との共演も話題となり、二宮は日本アカデミーの優秀助演男優賞に輝いた作品でもある。(その年の最優秀助演男優は、松坂桃李)二宮はあの小柄な体から想像できない程、瞬発力を伴う迫力がある。優秀助演男優賞は疑いの余地はなかった。

 

若手検事の沖野(二宮和也)は、研修教官だったエリート検事、最上(木村拓哉)と、ある老夫婦殺しの事件をきっかけに再開し、被疑者を自白させるべく最上のアドバイスに従って取り調べを進める。被疑者は十数年前、最上の妹的存在あった少女を陵辱して殺した重要参考人の男だった。時効が成立した少女殺しを、夫婦殺しの取り調べ中あっさり自白する男。最上は何としてもその男を法で裁くという正義を妄信し、男が今回の事件では限りなくシロに近いにも関わらず、男を犯人に仕立てようとする。挙句、本当の犯人を逃がし闇に葬り去るという暴挙までやってのける。

ここまでくると、エリート検事であるはずの最上(キムタク)の正義が何か、理解しがたくなる。サイドストーリーとして、親友の国会議員(平岳大)の贈収賄事件と彼の自殺、政界の闇などが挟まってくるのだが、深く描かることはなく、そんな不正と欺瞞が蔓延する政界(国の中枢?)で自暴自棄になった親友、だから最上は法曹界で自分ができ得る自分の正義を貫く?みたいなことなのだろうか。

最上によって葬られた本当の犯人の出奔について、検察側に罪人がいる、と確信する沖野(二宮)は、検事を辞めて最上によって冤罪になりそうな男の老夫婦殺しについて無罪を証明してみせる。

結果、誰もハッピーにならないという結末。殺人まで犯して時効となった殺人犯を法で裁きたかった最上も目的を果たせず、検事として真実を探し正義を貫きたかった沖野も志半ばで検事を辞めたのだ。

 

キムタク、初の(?)汚れ役?ではないだろうか。

良識あるエリートと言われる人間が人を銃で撃って穴に埋めるという狂気の沙汰にしては、もう少し汚く醜くなってほしかった。あと、どうしても高級なレストランや高級な暮らしをしている役の”キムタク”に違和感がある。ご本人は相当高級な生活をされていると思うのだけれど、何がしっくりこないのかわからない。

これまで見たキムタクは有能な医師であっても、出自は寿司屋の息子(「A LIFE」)、パイロットでも船宿の息子(父親役はいかりや長介、「GOOD LUCK」、同じ検察官でも中卒、いつもラフな格好の型破りな検察官(「HERO」)という、どこか庶民臭さがあり、同時に型破り=ワイルド&セクシーという役柄が多かった。そういうこれまでとは一線を画した役柄が最上だったわけだが。

でも、本作を観て”何をやってもキムタク”とは思わなかった。確かに前述した違和感は役の中に”キムタク”という偶像があるからこそ感じるものかもしれないのだが、それでも本作で、木村は健闘していたと思う。

私としては瞬発力で目を引いた二宮よりも、老獪でなんともセクシーでカッコいい闇ブローカーを演じた松重豊にワクワクしてしまった。最近、少しとぼけた役やいい人の役が多かった松重さんだが、ここでは悪人面全開で、つかみどころのない、とてつもなく恐ろしい男の役を飄々と決めていた。正直しびれた!

 

ということで、「教場」では冷徹な片目義眼の鬼教官を演じるキムタク、次はどんな骨太の男を魅せてくれるのか楽しみだ。

そして、そのキムタクとの共演で、林遣都がどんな屈折した性格の研修生を魅せてくれるのか、そのほかの若手俳優にも注目。 

検察側の罪人 DVD 通常版

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  • 出版社/メーカー: 東宝
  • 発売日: 2019/02/20
  • メディア: DVD