林遣都の牧凌太ではなく、落合モトキのハセが、春田(田中圭)の相手役なんて、2017年の連ドラで林遣都に覚醒した私としては、全く見る気はなかったのだが、ふとAmazonプライムを検索していて、表示されたこともあり視聴。
まず、驚いたのは、設定こそ不動産会社ではなく文具メーカーで違っているけれど、黒澤部長と春田の、キモになる掛け合いがほぼ同じであること!春田は連ドラの春田よりは優柔不断ではなく、ダメ社員(お人よしとも言う)ぶりもそこまでではない。しかし一方の黒澤部長の春田を愛するトーンと勢いは、まったくぶれずに連ドラに踏襲されていた。流石、舞台の人!!!吉田鋼太郎。同じ熱量の演技を別の”いた”でも再現できるのだ。
同性愛について、春田の困惑した反応、周りの異形を見る目・・、よりこちらのほうが現実味がある。ハセ(落合モトキ)の控え目な演技もナチュラルでいい。あくまでこちらのスペシャル版は、突然二人の男性に言い寄られるモテナイ30代、春田の目線で展開し、黒澤部長や同期入社のあすか(宮澤佐江)ー 連ドラではちず(内田理央)にあたる役どころー は、物語の展開のきかっけを作る存在。
連ドラでは、登場人物それぞれの感情の揺れ、特にハセにあたる牧凌太(林遣都)の心(かなわぬ恋→アタック→身を引く→成就)がきめ細かく描かれ、というか、きめ細かく繊細に林が演じたことにより、そこのボリューム(印象)が大きくなった感がある。というより、もはやそこがメインの恋愛ドラマとなった。
スペシャル版では、ラストシーン、ハセを追いかけて、でもまだまだハセを好きなことを認められない春田に、ハセが思い余ってキスした時、”だめじゃないかも”ってつぶやいて、ハッピーエンド。(たぶん)
この、ハセを追いかけて、のくだりも、ハセが赤い服を着てスーツケースを引いているのも連ドラのラストシーンの牧と同じ。なんだかこちらが先なのだけど、既視感があり感慨深く見てしまいました。
とにもかくにも、このスペシャルドラマで、”おっさん同士の恋”を軽くコメディタッチで描きつつ、”人を好きになることの奇跡みたいに素敵なこと”を伝えてくれたからこそ翌春の連ドラが誕生したのだ!
牧凌太はそこにいなけれど、スペシャル版も見て良かった、とじんわり思えるドラマでした。「おっさんずラブ」民には、ぜひお薦め。