ここにきて(どこにきて?)、20代前半の林遣都の出演作品を立て続けに見ている。
二十歳前で「パレード」という映画で男娼の少年役をやったからか、この時期、若者のあっけらかんとした健全さや、さわやかさとほど遠い役が多いと感じるのは私だけだろうか。
本作では、絵本作家の夢を追う主人公未来(倉科カナ)の恋人で、どこまでもどこまでも中身がなく、空洞の存在が全身から伝わる空っぽの金持ちの大学生、雄大役の林遣都。
工学部に入学したのに実は医学部を目指している、生活の基盤として医者になった後は、サッカー選手になりたいと言う。どう考えても荒唐無稽な夢を語る雄大と、馬鹿げた夢物語をバカにもせずに、自分も夢があるから、お互い応援しているつもりで彼女をしている未来。未来の作品や彼女自身のことはまるで考えていない自己中心的な雄大が、いつ衝動で人を傷つけるのか、急に豹変しそうな林遣都の甘いマスクと刹那的な優しさが怖かった。
ラスト、未来の投身シーンはホラーそのもの。「夢」という言葉に甘えてすがった挙げ句、とんでもない男に引っ掛かって自分を呪うしかない顔が悲しい。
性格が悪すぎて、考えが浅すぎて、人間が甘過ぎて、そんな雄大(林遣都)が強烈に印象に残る、なんとも後味の悪い作品だった。
撮影当時、22歳くらいで等身大の役の林遣都は、ひょろっとして肉が削げおちた体に、肩幅の広さが目立つ。あの天真爛漫な笑顔はどこに行ったのかと思える、振り幅が極端な役に挑戦している時期に思えた。(その前に見たのが「カラマーゾフの兄弟」での純粋で心優しい遼役だからね。)
相変わらすぎこちないキス。(役としてだと思うけど)ベッドシーンもあり、イケメン林遣都は堪能できます!