20巻で号泣してしまった。
「鬼滅の刃」。今ものすごい人気の漫画シリーズだ。
時は大正時代なのだが、密かに人間を喰らい数百年も生き続けている”鬼”が存在していて、その鬼を退治する「鬼殺隊」と鬼との攻防を描く。詳しくはWikipediaで。
家族を鬼に殺され、妹を鬼にされた炭治郎が、厳しい修行を受け鬼殺隊に入り、鬼退治をしながら、さらに強くなり、鬼の頭目(鬼舞辻無惨)にたどり着いていくのだが、何がこんなに受けているのか、読み進むうちに納得する。
退治される鬼も、元は人間であり、鬼になる過程において皆それぞれ悲しい過去がある。同情できる、できないはそれぞれのエピソードにもよるし、読み手にもよると思うが、20巻で描かれた、鬼舞辻無惨の1番弟子である、”上弦の壱”の鬼と、鬼殺隊の”柱”たち(かなり、相当強い隊士)の死闘、そして上弦の壱の過去の描写に、私はぐっときてしまった。
上弦の壱の鬼には、人間だった頃双子の弟がいた。その弟は、天才的な剣術の力があり、生まれながらにして崇高な精神の持ち主だった。”持てる”者と”持たざる”者、圧倒的な才能”の前でひれ伏すしかない者の屈辱。それがすごく丁寧に描かれていたのだ。
ほかの鬼たちにも大なり小なりの過去があり、かつ鬼殺隊に首を掻き切られ死ぬ間際に、元の人間の感情が戻る鬼もいる。また、鬼が闘う、あるいは死ぬるグロい描写の中で、コミカルな様子で死にゆく鬼もいる。そのグロさと悲しさと、そこはかとないペーソスがうまい具合に織り交ざって展開していくので、読むほうもグロさに吐きそうになったり、連続する戦いに疲れたりしないのだ。
鬼と死闘して、半死状態の隊員も(その多くが死闘に敗れて死んでいくのだが)、鬼殺隊に入った因果が語られ、性格や容姿がカッコいい者にはそれぞれファンがついているのも特徴。
また、炭治郎が闘いの中で強さを増していく過程に、私は身震いすることもあった。生死をかけた極限状態の中で、炭治郎は鬼の術が飛んでくるその一瞬間に「考えろ、考えろ!」と、危険を回避する、そして相手を倒す方法を絶対にあきらめずに探し続けるのだ。しかも、自分が助かるため、というよりは、鬼の頭目鬼舞辻を倒すという、共通目標のため、共に戦う隊士を死なせないため、という高邁な精神で。炭治郎のあり得ないほどの愚直さと比例する破壊的な強さに、漫画なのだけど圧倒されてしまう。
24巻で完結すると聞いている。週刊「少年ジャンプ」では、この後の展開がすでに公開されていて、すでに読んだ人から軽く内容は聞いているが、最後まで読破するしかない。
やはり日本の漫画は侮れない。ティーン・エイジャーが夢中な「鬼滅の刃」に、おばばもハマっている。