いよいよ来週になった、五月女さんの”竹内浩三の歌を届ける旅”。
会場は岸和田市にある自泉会館。
昭和7年に岸和田紡績株式会社(岸和田に綿紡績の会社があったなんて全く知らなかったけれど、岸和田っ子は町の歴史としてきっと学んだのでしょうね。)の倶楽部施設として建築された建物は、近代のスパニッシュ様式の建造物として国の登録文化財になっているそうだ。事前訪問した五月女さん曰く、レトロでとても雰囲気のある建物とのこと。そこにある瀟洒なホールで10月4日コンサートは開かれる。
ところで、五月女さんの”歌を届ける旅”「天性の詩人・竹内浩三の世界を歌う」だが、なぜ今回岸和田で開催することになったかについて彼女に聞いてみた。
彼女の言うところでは「岸和田は最初、たった一人の知人を頼りにやることに決めました。」とのこと。
多分20年来の付き合いになるのだろうと思うが、五月女さんの劇団のお客さんで岸和田に在住しているK氏を頼りに、その人が観て、聴いてくれる、というところから岸和田でやることになったというのだ。
五月女さんの劇団は、これまで大阪や仙台で旅公演も打っていて、その公演の情宣(情報宣伝活動)たるや、”同じにおい”のする演劇人に、直接会って、話して、また同じにおいの人を紹介してもらって、細い糸を手繰り寄せ編んでいき、客席を面にしよう(客席をうめよう)という作戦。細い糸でも、”同じにおい”の人がつなぐものだから、切れないんだな、これが。何年ぶりに会った〇〇劇団の〇〇さんと会って、と言っているのがその証拠だ。
その”同じにおい”とは何なのだろう、とふと考えてみたのだが、やはり”熱”だ、と私は思う。自分がこだわり、温めて(彼女の場合、内なるところで煮えたぎらせ)、人にどうしても伝えたい思いが発する”熱”ではないだろうか。そういう思いを体のどこかで燃え続けさせている人が、彼女の熱を感じて、そして動いてくれるのではなかろうか。
伝わるかどうかより、伝えようとする行動に意味があるような気がする。その意味で、彼女の”歌を届ける旅”は、ライブ開催前の情宣を果たした時点で、半分くらいは達成できているのかもしれない。
10月4日、14時。秋の始めの日曜の昼下がり、今年だんじりの喧騒は聞けないけれど、自泉会館という岸和田の文化施設に、お近くの方はお越しいただけないだろうか。もちろん、このコロナ禍、人が1か所に集まるライブ会場へ出向くことを躊躇する方もいると思う。何を隠そう、私もその一人だ。しかし、政府の言うGO TO・・も始まった。参加する人も、主催する人も、受け入れる施設も、十分な感染対策をとって、経済活動・文化活動を、そろそろと始めだしているのも事実。
23歳の若さで戦場に散った竹内浩三がつづった詩、それに曲をつけ、ピアノ伴奏で歌う五月女さんの”思い”の一端を、少しでも多くの人と共有できたらいいなと思う。
ピアノ合わせ、ライブ前にある朗読劇の稽古をしたよ、とメールが来た。これから衣装を探さなきゃなんて、今頃言っている五月女さん。フェイスガードをつけて歌うのも大変だろうけど、週末に向けて彼女の胸の高まりが聞こえてくるようだ。
■公演詳細
タイトル:五月女ナオミ「歌を届ける旅」天性の詩人・竹内浩三の世界を歌う
内容:朗読劇とピアノ伴奏によるライブ
日時:10月4日(日)午後2時 (開場:1時半)
場所:自泉会館ホール
大阪府岸和田市岸城町5-10(TEL/072-423-9743)
木戸銭:1,000円