今さらだが、マーティン・スコセッシ監督、ロバート・デ・ニーロ主演、子役時代のジョディ・フォスター出演の本作を初めて観た。
タクシーを運転するデ・ニーロの顔のアップにテーマ曲がずっとかぶって流れるシーンがやたら多い。それ以外の効果音が、緊迫したシーンでジャジャーンって感じで入り、何だか時代を感じた。
大統領候補の選挙事務所に勤める女性に恋した、無学で孤独な青年(デ・ニーロ)の、心の変化が痛い。私がこれまで観たロバート・デ・ニーロで一番若かったのだけど、当時から軽く微笑むその笑みの向こうに、何を仕出かすがわからない不穏さをみせる、心のレイヤーの表現が凄かった。ただ、ハンドルを握って運転している顔のアップだけで、ハラハラするのだもの。
ニューヨークのハーレム、スーバーに強盗に入った黒人青年の仕留められ方、どれもが、当時の世相を映していて興味深かった。
公開当時、私は幼かったけど、洋画全盛時代で姉が買ってくる「スクリーン」という映画雑誌に、子役のジョディが、娼婦役をするというのが話題になっていた記憶がある。だから、観るべき映画としてずっと私の脳裏に刻まれていた。
カンヌでパルム・ドールを受賞している。確かに納得。