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はやし蜜豆の犬も歩けば棒に当たる、

好きな俳優の作品を集中して観るのが好き。その記録や映画の感想、日常気になる現象をぼそぼそ綴っていきます。

「おカネの切れ目が恋のはじまり」-2 

私は俳優という仕事にどうしようもない憧れがあって、実際小さな劇団に所属して何年間か舞台に立ったことがあるくらいだ。だから、ドラマでも映画でも、時々俳優目線で見てしまうことある。

本作、「カネ恋」もそう。第4回が最終回。松岡茉優とW主演の相方、三浦春馬があんなことになってしまい、4回目は冒頭しか出てこない。

主人公、玲子(松岡茉優)が早乙女(三浦翔平)にフラれて髪の毛を切った夜、慰め勇気づけていた慶太(春馬)が、雷が光った拍子に思わず松岡にキスをしてしまう。その翌朝、混乱する2人それぞれを映した後、慶太は出かけてそのままその夜も帰ってこなかった、という設定になっている。

4話は、朝の慶太を映して以降、その日1日、玲子がなぜそこまでお金の使い方にこだわり、節約を美徳するようになったかの背景を紐解く旅。そして登場人物のほぼすべてが、もう一人の主役、慶太(春馬)に関わっているので、外出していない慶太を回想して物語をまとめるかのようなシーンが続いた。

はっきり言って、私は涙なしには見られなかった。

慶太=春馬が本当にいなくなってしまっているという消えない事実が、登場人物になりきっている俳優にも視聴者にもわかっているだけに、その台詞の一言一句、それを口にする俳優の表情、その心(役でも素でも)を思うと、よく目を湿らさずその台詞を言った!えらい、としか思えなかったのだ。

慶太の父親役の草刈正雄の「あいつはあいつのままでいいんだ。」。母親役のキムラ緑子 が、ハンガーにかかった慶太のジャケットをなでるシーンとその表情。恋敵役の板垣君(北村匠海)の「あの人、どうしても憎めないですよね」。そして一番偉かったのは松岡茉優だよね。慶太の笑顔を思い出しながら、ほころびだらけで困った人間だけど、ほころびを直そうとして、気になってし方なくなったよ、と回想するのだ。よく、よくよく頑張った!と本当に思った。

彼女の慶太に思いを寄せてほほ笑んだ顔でドラマは終わったのだけれど、その後、本人は号泣したんじゃないかと、勝手に思ってこちらが号泣してしまったくらいだ。

 

一つのドラマとしては、登場人物のキャラクターがたっていて、例えば玲子の満足した時の「よき」という口癖とか、愛情深くてファンキーな玲子のママ役の南果歩とか、玲子が15年あこがれ続けた、早乙女さん(三浦翔平)の訳ありな過去と今後など、かなり練って作られていたと思う。全10話くらいあるとすれば、それぞれの登場人物のストーリーと伏線の落とし前をきっちりつけて、見せる方も見る方もハッピーエンドを楽しみたかった。

それにしても、ドラマの中でシワいっぱいで笑う春馬の笑顔は本当に屈託がない。おもちゃ会社のボンボンで30歳過ぎても母親にお小遣いをもらう甘えん坊でいい加減な慶太を、全く嫌味なく軽妙に演れちゃっているところがなんともすごい。

・・・

春馬、あんた本当にいい俳優だよ。

 

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