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はやし蜜豆の犬も歩けば棒に当たる、

好きな俳優の作品を集中して観るのが好き。その記録や映画の感想、日常気になる現象をぼそぼそ綴っていきます。

五感の記憶 ― キンモクセイの匂い

秋の気配と共に、むせるような、あるいはふんわりとしたほのかな、キンモクセイの匂いに通りで出くわす。オレンジ色の花は小さく葉はたくさんあるものだから、キンモクセイは姿より先に匂いでその存在を人に知らせる。そして毎年、その香りと共にいつも同じ光景が頭に浮かぶ。

中学1年生の時の、友達と歌を歌いながら屈託なく騒いでいたころの自分だ。その頃流行ったポップスの歌詞に、「キンモクセイの・・」というフレーズがあったのだ。それを歌いながら友達と駆けていた、まだまだ子供だった頃の自分を思い出す。

 

キンモクセイが姿を隠して匂いだけで自分の存在をアピールする様は、なんだかエロい。そう思うようになったきっかけは、内田善美という漫画家の「星の時計のLiddell」という作品にキンモクセイに関する(エロとは全く関係ないが、私が勝手にそう感じた)記述があったからだ。

内田善美という漫画家が好きだったわけだが、先ほどWikipediaで調べたら、突然消えた漫画家になっていた。しかもだよ。私は今の今まで内田善美は男性だと信じていたのに、「女子美大」出身とあるのではないか?!ということは、女性なの?あー、びっくりした。同時に品切れの単行本がものすごい価格でオークションに出されていた。

あの緻密な線、人物画、お話、どれをとっても男性によるものだと勝手に信じていた。実家に彼女の最高傑作、「星の時計のLiddell」があったと思う。大学生の時に購入し、なめるように大切に読んでるね、と先輩から言われたくらいどっぶり世界に浸かっていた時期があった。少女漫画の枠を超えて、画は美しく、ストーリーは観念的、哲学的、そして難解なため何度も何度も読み返した。主人公が真理にたどりつた瞬間は、主人公の感動と一緒に体の奥が震えたことを今でも覚えている。

漫画家として活躍したのはほんの10年ほどのようだから寡作みたいだ。そういえば、私も「Liddell」と「草迷宮・草空間」しか作品の記憶がない。(きっと他も読んでいるとは思うのだけれど。)

 

はあ、最近通りで匂う、キンモクセイの香りから始まって、内田善美が女性だった!という発見にだどりつくなんて!

今度実家に帰ったら読み返してみよう。