正月2日、3日に行われる箱根駅伝を家人が見るので私も傍でちろちろ見ている。
毎年のことだが、選手やチームについてドラマチックな背景をアナウンサーが解説し、選手が抜かれたりゴールで倒れこんだり、泣いたりしているのを見ると、ばばあの緩い涙腺は簡単に崩壊して困る。
そして、それらの感動が少し落ち着いてくると観たくなるのが、映画「風が強く吹いている」だ。
1度も箱根駅伝はもとより、大会すら出たことのない陸上部の合宿所に住む住人たちが、まかない兼管理人のハイジ(小出恵介)の策略に乗せられ一から箱根を目指す1年間。個性豊かなそれぞれのプロフィールも抑えつつ、1年生にしてエースのカケル(林遣都)の成長とハイジを中心にした男たちの友情が描かれ、王道の青春スポコン映画ともいえる。
今年3回目に観て改めて素晴らしいと感じたのは、箱根駅伝を完コピ ― ”コピ”と言うのは変で、ほぼ完璧に映画撮影用に開催していることだ。出場する関東の大学19チームを揃えたかどうかはわからないが、それに相当するチーム数を感じたし、それぞれの大学の応援団や沿道の応援の人々。まだドローンがなかった時代の空撮。どれをとってもすごい!おカネかかってそう!と思ってしまった。(エンドロールを見てもそれを実感)
キャスティングは、練習を含め走れるか走れないかで選ばられた配役では?と思うほど、本気で皆走っていて、林遣都については顔だけ見ると一人だけ中学生か高校生が混じっている?と思えるのだけれど、ランニング姿の体躯と走る姿が素晴らしく、もともと選手だった人が演じているの?と思えるほど。演技もそんな感じだが、最後のゴールでアンカーのハイジ(小出恵介)を待つカケル(遣都)ほか皆の姿はもはや演技を超えていたような気がした。
本気で何かに向かうことの大切さ、地道な努力、友情・・・、こう書くとベタベタと湿った感じで情に訴えるドラマを想像するかもしれないが、さにあらず。走ることの崇高さ、箱根を目指す若者のひたむきさを、箱根に向かう海岸の風と一緒に感じられるさわやかな映画だ。
監督は今では名前をよく聞く大森寿美男(近年では「なつぞら」)で、本作は彼の映画監督デビュー作とのこと。
1周回って戻るが、林遣都ファンは必見です。
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