小学6年生の”命の授業”で、新任教師がクラスで子豚を育てて最後にみんなで食べることを提案、実践した授業を元にした作品。妻夫木聡が新任教師役。児童たちはオーディションで配役され、それこそ当時10歳か11歳の北村拓海が児童の一人として台詞もほとんとない役で出演している。(顔面的には子役の中でもぴか一にカワイく、台詞はなくてもやたら抜かれている。顔面の可愛さではなく表情の良さだよね、きっと)
始めおっかなびっくりで世話をしていた子どもたちだが、校庭の隅に小屋をつくり、Pちゃんという名前まで付けてやる気満々。先生は、最後は食べるのだからペットのように名前をつけることに反対するが、子どもたちは聞かない。糞尿やえさの残飯集め、ブラッシングなどの世話をしていくうちに情は移り、Pちゃんの世話をしに学校に行っているようだと親に心配される子も出てくる。
そして小学校を卒業する3、4か月前から、ブタを食べるか食べないかの話し合いがクラスで始まる。”命の授業”のクライマックスは、映画の後半ほとんどを占めた。
児童役の子役たちはこの話し合いに台本はなく自分の言葉で賛否を討論したという。
・食肉センターに送る
・下級生(3年生が立候補してくれた)に譲り、飼育してもらう
冷静に考えれば、最初から食べることを前提に飼育したのだから、”命は私たちが引き継ぐ”として食べて終われば論理的に矛盾しない。そういう意見を言う子もいた。
しかし、かわいがってクラスの一員として見ていたPちゃんを殺すことはできない。
食用ブタの寿命は8か月なのだから、Pちゃんは長く生きた方だという子。
誰が命あるものの命の長さを決めるか?と疑問を呈する子。
まさに命の授業そのもの。
台詞でないだけに、子どもたちの発言する様子がリアルで、矛盾もしているし強引だったり、ただの自己主張になっていたり。
二分された意見は、多数決を2回やったが13対13で拮抗。クラスの1人として担任の妻夫木聡が出した結論は!?
とにかく後半は泣けて仕方なかった。
ブタが子どもたちに懐いているような感傷的な表現はなかったのだが、ブタが無垢なだけに、子どもたちが可愛がっている様子(ブタを交えてサッカー)さえ、これは虐待ではないのか、とまずブタへの同情と哀れみで涙が出た。その後ブタの脱走騒動やら何やらと事件を経ていくうちに、子どもたちのブタを必死で守る様に泣けてきた。そして討論会では、かわいがった動物を自分たちが生きるためには殺して食べる?という痛恨の極みに苦しむ子どもたちへの感情移入。そう、子どもたちがもやは演技ではない、必死に訴える様と彼らの泣き顔にやられた。
想像以上にずっしりときた。自分の子どもが小学生の時に観せてあげたかった。
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