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はやし蜜豆の犬も歩けば棒に当たる、

好きな俳優の作品を集中して観るのが好き。その記録や映画の感想、日常気になる現象をぼそぼそ綴っていきます。

「スパイの妻」(2020年):スパイミステリーと思いきや、高橋一生と蒼井優が魅せる純愛映画

太平洋戦争に突入前の昭和初期、軍部による満州での人体実験の事実を偶然知った貿易商、優作(高橋一生)とその妻聡子(蒼井優)の命を懸けた企ての顛末は・・・

 

貿易商として成功した優作と聡子の、戦時中にもかかわらず悪びれない贅沢な暮らしぶりが目にうれしい。聡子の着るワンピースの昭和レトロなかわいらしさ、社長婦人である聡子の育ちの良さと聡明さを示すしゃべり口調。敢えて昔の映画の女優みたいに上品な言葉を早口に話している様も、時代をすっと腹に入れてくれるようで功を奏していた。

軍部の蛮行を知って告発しようと画策する優作を知り、それが当時、国家への反逆となりどれほど恐ろしいことが知っていながら協力する聡子。二人の企てを知ることになり、疑い追う聡子の幼馴染の泰治(東出昌大)。
緊迫したシーンの連続ではあるが、だまし、だまされ、欺き、欺かれているのは、優作と聡子のお互い同士、、、と終わってみればの感想。二人がお互いを愛し、守ろうとするがゆえに、お互いを欺くどんでん返しが2回。戦時中、軍部の機密という話の設定はあるけれど、本筋は二人の愛がいかに強いか、ということではなかろうか。

それでも、制作がNHKならでは。
当時日本軍が満州で行った人体実験の写真や映像を取り込み、そのような時代でも崇高な信念を持った日本人がいたことを描きつつ、戦争の負の部分をきっちり提示している。(余談だが、久しぶりに森村誠一の「悪魔の飽食」、遠藤周作の「海と毒薬」を思い出した)

 

頭をきっちり固めて、レトロなスーツに身を包んだ高橋一生がむちゃくちゃカッコいい。優しく頼もしい、この上ない理想の夫像が素敵。
一方の蒼井優は、一人の男を強い心で愛し続ける芯のある女を好演。いくら愛する夫のためと思っても、当時2週間、貨物船の船底に潜んで密入国するなんて考えられん。でも蒼井優だもの、やってのけそう、と妙に納得してしまう。
蒼井優、私の中では”なんちゃって美人”女優であり、役によってはわざと不細工に撮ってるんかい?!と突っ込みたくなる時もあるが、演技はテッパン。彼女の瞳の強さと純心さが際立った。

 

スパイの妻<劇場版>

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