ほぼ、毎日、実家に電話する。
母に認知症の兆候が出始めた5年くらい前からずっと続けている。
今年初めに大腿骨を骨折し入院・手術・退院してから、要介護4になった母を父が介護している。
私が帰省できるのは月1回がやっと。電話の声と実際の暮らしぶりの乖離が最近は大きくなってきたと感じるが、2年くらい前から続けている月1回のペースは、ほぼ変わらない。
今日は、父が母を美容院に連れていったと言った。有難いことに、実家の前に美容院ができた。車いすで行って、そのままカットしてもらえるとのこと。母は何十年も通っている”パーマ屋さん”があり(そのパーマ屋のおばちゃんも相当な年齢だと思うが)母としてはそこに車で連れて行ってほしいのだが、車いすから車への移譲も無理だし、父が運転することももはや危険だ。自宅前に美容院ができて渡りに船だったわけだ。
父の声が今日は明るかった。
「おかあちゃん、2つ3つ若返ったよ」と言った。
夕方財布が見つからず慌てたらしいが、美容院に行った時に車いすにかけてあるカバンに入れていたことに気づき、見つかったとも。
「今日はいい日だった」と父は言った。
父の明るい声と、母の珍しくはっきりしゃべる様子がうれしかった。
今日は、良い日だったのだ。
2人は今日が結婚記念日だと気づいていたのかな。