いくら”推し”が出演しているからと言って、初日に映画館に駆け付けたのはこれが初めてだ。公開が近づくにつれ、雑誌やテレビやWebで露出される映像や情報に期待が高まり、早く観たいとこれほど思ったことはない。
公開日の金曜の夕方に観てから、何回もシーンを反芻し、そしてもう一度観たいと強く思う。
とても美しく(時々グロテスクなのだけれど)優しさがふんわりと心に染みるアート系作品だった。多用されるCGは、主人公二人の心の機微や、二人の脳に寄生する虫による仕業を表現しているのだが、それもキレイで有機的。ポップなのではなく、”生きている””生感”がある。ひと昔前に若い女子の間で流行った「アメリ」というフランス映画があるけれど、「アメリ」が”長調”なら、本作は”短調”って感じ!(勝手な私の感覚で。似ているわけではない。さらに、ひと昔と書いたが、調べたら「アメリ」は2001年公開だって!20年前だった!)
極度の潔癖症で人間関係を築けない青年、高坂(林遣都)と、視線恐怖症で不登校の女子高生佐薙(小松菜奈)。周りを排除することでしか生きられない”癖”により、孤独の淵にいつもいた二人が、出会うあことで同じ”匂い”を感じ、最初は無理やり、でも徐々に惹かれあって距離を詰めていく様が、時にユーモラスに、時に痛々しく描かれる。二人が惹かれる理由は、脳に寄生した寄生虫のせいだという、ファンタジックなストリーなのだけれど、この俳優二人の演技力でものすごく人物にリアリティがあった。
私史上、小松菜奈の演技は最高だったな。
そして林遣都の、前半の、女子高生からみたら”おじさん”、イケていない30歳前の男ぶりもいい。かなりいい。全然カッコよくなかった、そこがいい。(でも、マスクから出ている大きな瞳だけは、どうやっても魅力的だった。自分勝手な佐薙を見る諦めた目、いたわる目、優しい目)
登場人物が少なく、ほとんどがW主演の二人のシーン。林遣都ファン、小松菜奈ファンにとっては美しい映像と、時に甘美な音楽にのせて、まるで二人のプロモーションビデオを観ている感覚になるかもしれないけれど、さにあらず。
孤独な二人の邂逅と、不器用だけれど、ゆっくりそっと優しく寄り添おとする恋心が尊く、そこに込められたメッセージは強いと思う。
小松菜奈は25歳にして高校生の制服はキツイと言っていたけれど、全然!不機嫌な顔の、こんな生意気で可愛げのない女子高生います。ラストシーンまで、小松菜奈にしてほぼカワイイと思えるシーンがゼロ。いつも同じ制服姿。でも高校生として全然イケてました。小松菜奈、すごい。
(感想は次回に続く、たぶん)
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