3月の始め、お雛さんに供えようと買った桃の枝を切ろうとして、花ばさみの持ちてで左中指の腹をこっぴどく挟み血豆ができた。太い枝で相当な力を手と奥歯に込めてぎゅっと握ったら、勢い余ったようだ。
鈍痛が走り、一瞬血が飛び散るかと思いきや、小豆大の血豆が2つみるみる膨れ上がって、指の腹のてっぺんに出現した。あー、これ皮膚が裂傷していたらこの血豆の大きさ分の血が出ていたんだな、と思った。
ジンジンと疼き、対処法を検索したら「冷やすこと」とあったので流水にあててみた。どんどん腫れてぶよぶとするようなら潰す、という痛そうな処置もあったが、何もしない、というのが1番のようなので様子をみることに。
それから2日間は、一瞬触れただけでも飛び上がるほど痛かった。カットバンをするにも痛い。切り傷を作った時愛用しているキズパワーパッドは、今回はお呼びでない。
しばらくは何をするにも”F●CK YOU”の手になってしまった。自転車のハンドルを持つ時は必ずなった。
1週間くらいは”F●CK YOU”で、指先に注意を払いながらの生活だったけれど、しばらくして腫れは引いて平になり、黒いシミが中指の腹についている感じになった。強く圧迫しない限りはほとんど痛みはなかったが、指の腹の黒いシミは、日常生活でなかなか慣れない。
特に台所仕事をしている時、何度もぎょっとする。
例えば、ガラスのコップを素手で洗っているとき、持ったガラス越しに映る指のシミがガラスの汚れに見えて、ぎょっ。
葉物野菜を洗っていて、指のシミが小さい虫に見えて、ぎょっ。
という具合だ。
絶対目に付くところにある、中指の腹のシミとつき合って10日くらいたった頃、新しい皮膚ができているからなのか、指の腹のてっぺんからほんの少しだけ下にずれ、血豆自体はカラカラになっている。ちょうどケガをしたところに蓋がされているみたいだ。それを見て、そうか、これってもう少ししたらペりっと瘡蓋みたいに剥がれ落ちるのだろうな、と想像できた。
そして12日目。ついに豆の半分が剥がれ、夜には残ったほうもペロリと剥がれ落ちた。血豆がとれた跡には、ピンクの新しい皮膚が光っていた。
裂傷して血がでれば、そこから細菌が入る可能性もある。指の表皮はそれを避けるために持ちこたえ、中で破裂した毛細血管から出てくる血を皮一枚でなんとか塞き止めたのだ。塞き止めた血は皮膚の下で血豆となった。
最初、ジンジン疼く血豆を見ながら、この中にある血はどこにいくのだろう、まさかシミやホクロになったりしないよね、と考えたものだけれど。
血豆、衝撃で破裂した毛細血管と皮膚直下の皮膚(?たぶん)を守り、新しい皮膚が誕生するまでよく頑張ったねー。剥がれた落ちた瘡蓋を見て思った。
血豆、いい仕事をしてくれた。
写真は、できてからたぶん翌日に撮った血豆のプロフィール。
こちらは件のお雛さん。ただし2月に飾った時のもので、この時の桃の枝はそんなに太くなかった。