トランペットの、目の覚めるような音はやはり出なかった。
「トランペットが僕にサヨナラゆうているみたい」
錠一郎（オダギリジョー）の静かな語り口が悲しい。
20年以上、都度トランペットを出して試しては吹けないことを確認し、だんだんトランペットを出す頻度が減ってきて、少しずつあきらめの境地に至っているジョーの言葉。それを静かに聞きながら、涙するるい（深津絵里）の心持になると、彼女と一緒に泣いてしまった。
心に孤独を抱えた二人が、深いところで惹かれあい、一緒に”ひなたの道を歩こう”と所帯を持ち、家族を作った。貧しいけれど、それが正解の生き方とするのは、どうやらるいの母親、安子（上白石萌音）の信条だったような気がする。
ひなた（川栄李奈）と桃太郎（青木柚）のいいお父ちゃんでいれば幸せかな、と思う錠一郎が、姉弟に伝えたかったは、どんなに挫折しても、それでも人生は続いていくんだ、ということだった。
明日以降、いよいよ算太おじさん（濱田岳）により、るいの母親、安子の顛末が語れるのかな。
