鎌倉を中心にした関東一円の中で、御家人同士の争いが絶えない。鎌倉一の御家人になるためとは言え、やり方が汚い。
元凶は、義時(小栗旬)の父、時政(坂東彌十郎)、彼をそそのかす妻のりく(宮沢りえ)だが、時政が悪人然と描かれないところが本作の特長。その代わり、とっても好い人だったはずの義時が、冷徹な策士になってしまった。それは初代鎌倉殿(大泉洋)から学んだことそのもの。そして義時の大義は、死んだ兄(片岡愛之助)の「北条を坂東武士の頂点にする」ということらしい。
ライバル比企一族を葬った義時の元を去る比企の出の妻、比奈(堀田真由)の去り際があまりにもカッコ良く、芯の強さが感じられる堀田真由の演技が光った。
振り返れば、義経(菅田将暉)の愛した白拍子の静御前(石橋静河 )も、その義経に打たれた木曽義仲(青木崇高)愛妻、巴御前(秋元才加)も、生き死にに関係なく強く、清く、カッコいい。三谷幸喜の中にある女性像なのかなー。そういう視点で見れば、しばらく続きそうなこのドロドロ、源頼家(金子大地)の非業の死も、何とか越えられそうだ。金子大地君、狂気と純粋、聡明と腹黒、複雑な若き二代目を好演。その根底にあるのが父頼朝と同じ、誰にも理解できない深い孤独であり、高貴な様が頼朝より真っすぐに出ていてメチャクチャ良かった。
それにしても、刺客・善児(梶原善)、暗殺者として完璧な仕事ぶりだった。そこに人の心はないはずだったが、老いて変わったのか、一幡(頼家の嫡男)をかくまったことで鉄の心にブレが生じ命を落とした。最も身近に置き、自分が育てた刺客の女、トウ(山本千尋)の止めの一撃で絶命。なんだか悲しい最期というよりは、暗殺者として見事な死に様に思えた。梶原善、強烈な印象で爪痕残す。
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