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はやし蜜豆の犬も歩けば棒に当たる、

好きな俳優の作品を集中して観るのが好き。その記録や映画の感想、日常気になる現象をぼそぼそ綴っていきます。

”だいじょうぶ、だいじょうぶ”:父の口癖

以前はほぼ毎日、最近は1日おきになりがちだが、父が母を老々介護をしてくれている実家に電話する。

毎回その日が暑かったか寒かったかから入る。多くのことを話しても、もはや父さえも100%は理解していないような気がする。

「今日はさすがに寒かったねえ。そっちも寒い?」

「夕食は何を食べた?」

「野良猫は遊びに来た?」

「お母さんは変わりない?」

「薬は飲んだ?」

「戸締り、火の元に気を付けてね」

途中から父の答えは「だいじょうぶ、だいじょうぶ」になっていく。

父の「だいじょうぶ」は必ず2回。まるで自分に言い聞かせるように言っているようだ。そしてその「だいじょうぶ」は、大丈夫ではない時でも言う。
一時期、父が時々転ぶことがあるようだ、とケアマネージャーさんから教えてもらったことがある。また、腕が腫れていて痛いと言っている、というのもケアマネージャーさんから聞いた。薬を飲んだといつも言うが、先日帰省した時、父の薬は先月のものが夜分だけ残っていて(飲み忘れ)朝の薬は全くなかった。

私の電話での確認には、まったく意味がないとわかっている。
ただ、父の声の調子、また最近は3回に1回くらい母と話せた時、その声で二人の様子を想像するだけだ。

父の声に少しでも元気があるとほっとするし、昨日久しぶりに話した母の口調は、その前よりはっきりしていた。母のそういう声を聴くとこちらも明るい気持ちになる。

 

ところでこの間、飾ってある切り花に話しかけて「(まだ)だいじょうぶ、だいじょうぶ」と自分が言ったことに驚いた。(切り花に話しかけるってこと自体に驚かれるかもしれないけれど・・!)
私は切り花を長持ちさせるのが得意なのだが、それは、ほぼ毎日水を入れ替え、茎を切って活けなおすからだ。生け花を習っていたことがあり、とにかく花を触って、活けた後眺め、角度を調整し、また入れなおしたりと、無駄な時間を過ごすのが、たぶん私の癒しなのだと思う。
母が若い頃、お花の稽古から帰って夜に花を活けていたのを横で眺めていて、そのことも影響したのだと思う。社会人になって生け花を習うきっかけがあったので始めた。

無意識に花に向かって言った「だいじょうぶ、だいじょうぶ」は父の口調とよく似ていた。毎回父の口癖みたいなそれを聞くものだから、移ってしまったのだね。

それから花を生ける度に、やっぱり父の「だいじょうぶ、だいじょうぶ」を思い出す。

実家から持ち帰った備前焼の一輪挿しに、ツレが咲かせたバラ

 

 

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