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はやし蜜豆の犬も歩けば棒に当たる、

好きな俳優の作品を集中して観るのが好き。その記録や映画の感想、日常気になる現象をぼそぼそ綴っていきます。

「チョコレートドーナツ」(2012年):偏見との闘いは終わらん・・・。

日本での公開当時(2014年)、映画館でポスターを見て、ゲイのカップルが母親からニグレクトされているダウン症の子供を引き取って暮らすという、ハートウォーミングでちょっとコメディ要素のあるお話だと思っていた。私の中では勝手に「トーチソング・トリロジー」的なテイストなんだろうと思い込み、観たいなあと思っていた作品だ。
その程度の情報で観始めたわけだけれど、”ハートウォーミング”という言葉でまとまるほど、甘い話ではなかった。

1970年代当時、性的マイノリティ(LGBTQ)について世間では理解も受容もされておらず、同性愛者へのあからさまな偏見は今からすると信じられないほど厳しい。

ドラッグ中毒の母親に、ロクに世話をされていないダウン症の少年を保護して、安全な家で愛情深く育てたいと願っている男2人。一人は検察官ということもあり、何度も法廷で少年を養育する資格を得ようと奮闘する。しかし、二人がどんなに愛情深く少年に接しており、少年が二人を慕っていることが周囲の人の証言で証明されても、だた1点、同性愛者であるというだけで、少年と彼らは引き裂かれてしまう。
ゲイのカップルに育てられるよりはマシなはずという偏見で、出所を早められた母親の元に少年は連れていかれてしまう。
この時点で私は、きっきと少年が母親の家を飛び出して二人の元に戻ってきてハッピーエンドになるはず・・と高をくくって観ていたのだが・・。

 

ドーナツが好物で太ったダウン症の少年が母親のアパートを出て夜の街を彷徨する後ろ姿がなんとも幼気で寂しくて悲しい。

突然、最後の方で少年の顛末が語られ、私はあまりの展開に衝撃を受け、涙が止まらなかった。少年役のダウン症の子の笑顔が飛び切り可愛くて、憎めなくて、もはやゲイのカップルと同じ心情になって彼を見ていたせいだ。

ゲイのカップルのもう一人、ゲイバーで歌手をしていたルディ役のアラン・カミングの慈愛に満ちた表情が何ともいえない。作中でライブハウスの歌手として成功する彼の歌声も素晴らしかった。ラストは歌っている彼の姿で終わるのだけれど、同性愛者というだけで差別され、そのことで少年を救えなかったことへの怒りと悲しみに溢れたパフォーマンスが重く心に残った。

こういった彼らの戦いや悲劇の繰り返しの果てに、今のLGBTQへの理解や寛容があるのだとしみじみと思う。人間社会に差別がなくなることはないのだろうけれど、あからさまな差別は、差別している方を逆に貶めるようになったのは事実だ。

 

 

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