毎回ラストで、オーケストラの演奏と名曲を楽しめる。その数分がお茶の間にいて味わえる小さな贅沢だなあと思う。回を重ねるごとに、マエストロ、常葉朝陽を演じる田中圭の指揮者っぷりが様になってきて、かなりカッコいい。
元天才バイオリニスト初音(門脇麦)が、10年前のトラウマと10年間のブランクを乗り越える物語でもあり、事情を抱えた団員達のそれぞれのエピソードと並走しながら、朝陽とともに地元のポンコツオーケストラを立て直すべく奮闘する様が痛快だ。
第4話では、ヴィオラのみどり(濱田マリ)の、受験生の母親と仕事(オケ)の両立に悩む姿が描かれた。娘を思う気持ちと自分の仕事=好きを続ける母親の気持ちにものすごく共感し、見ていてボロボロ泣けてきた。
そして、どこで働くか、― 娘の台詞に「しょぼいオケで・・・」という台詞があったのだが ― について改めて考えた。働くのに組織の規模や格は関係ないのだと。どういう思いでそこにいるか、そこで働いているか、自分の仕事に、やっていることに、誇りを持っているかなのだと思う。
そんなことを考えながら、ラストシーンの娘の高校での受験生応援演奏を聴いた。その演出がなかなかだった!
ヨーロッパの街角で、一人の奏者が演奏を始め、路地や建物の影からほかの奏者が現れ、街のちょっとした広場でオーケストラの演奏がサプライズで始まる、と言う動画を以前みたことがある。まるで、そんな感じで、高校の吹き抜けのフロアで、朝陽とみどりが立っていて、みどりのヴィオラをきっかけに、2階から、廊下から団員たちが登場して演奏!しかも曲は、みどりの娘の好きな曲だったのだ。
地元に新しくできるシンフォニーホールのこけら落としを飾るオーケストラが、市議と市長の政争に使われていることは現実離れしているけれど、団員たちのエピソードは意外と庶民的で身近に感じることができ、見ているうちに玉響(児玉交響楽団)と初音を思いっきり応援している。
付け加えると、冒頭に書いた毎回ラストシーンでの演奏後、めったに笑顔を見せない朝陽=田中圭の満面の笑顔も最高です!(別に田中圭”押し”ではないのだけれど、この役の田中圭、結構好きかも)