最初に本作の感想を書いた時、泣ける要素満載な設定なのに、幽霊となり恋人、悠依(井上真央)に寄り添う直木(佐藤健)と、幽霊の直木が見えてしまう刑事の魚住(松山ケンイチ)の掛け合いが軽妙で、ちっとも泣けないと書いた(泣くどころが面白い、◎グッド)。
だけど最終回に至るまで、悠依、直木の過去と現在の境遇、それを傍で見守り支えながら、直木を愛する悠依に心を寄せていく魚住の切なさなど、ぐっとくる箇所がいくつかあった。
特に、悠依に見えない自分の存在を知らせる手段として、直木が口笛を吹きその音を届ける、というシーンには泣けた。そんなことはあり得ないけれど、突然大切な人を失くした人にとって、風や光の揺らぎにでさえ、その人を感じることだってあるだろうと思う。(「千の風になって」っていうじゃない)
直木のへたくそな口笛を聴き、涙する悠依と一緒に号泣。
また、直木の言葉を悠依に伝える役回りとなり、二人の愛情を伝え合ううちに徐々に悠依に惹かれていく一方で、直木という強くて優しい人物の人柄を知るにつれ、直木に友情を感じる魚住。最終回では、一人の女性を巡って恋敵にならず、返って固い友情を育むことになった二人の絆が描かれてこちらにも感動。
直木以外の幽霊の登場や、悠依の友人となった医師(シム・ウンギョン)の事故死した恋人が魚住に瓜二つであるとか、その事故の原因の加害者(菊地凛子)も幽霊として彷徨っているとか、、全編にわたりファンタジーだったわけだけれど、亡くなった人を想う心、残した人を想う心、それらがとても温かく愛おしく、リアルだった。
そして、ラストの奇跡の時間(悠依の前に直木が生きている人間として出現する!)では、直木が心の奥底で抱えていた彼と家族の問題が解決した。直木が献身的に骨髄を提供していた病気だった弟が最期に登場した時、それが「カムカムエブリバディ」の桃太郎を演じていた青木柚だったことにびっくり。あの一瞬の登場なのに、私が初めてみたサラサラヘアの青木柚の”弟力”はすごいなーと、期待の若手俳優に脱帽。
奇跡の最後の時間を自分のためではなく、直木が封印していた思いを昇華することに使った悠依の優しさと大きさも素晴らしい。
口下手な直木が悠依に100万回言えばよかったと後悔したことをやっと最後に言えたこと。悠依がしっかり前を向いて歩いていく姿で終わったラストシーン。しんみりではなく、スッキリ明るく終わったのを落涙しながら見届けた。
佐藤健のペーソスを感じる静かな演技は、心に染みたなあ。
ドラマの中で、佐野洋子の「100万回生きたねこ」の絵本がモチーフとして何度が登場する。「100万回生きたねこ」は、あらすじを読みなおすだけでも泣けてきそうになるけれど、唯一の存在に出会え想いを遂げることができれば、魂は安らかになるってところが、タイトル以外でこの絵本から得たモチーフの一つだったのかなあとふと思った。
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