戦後の焼け野原を臨み、亡き夫、香美昇一(林遣都)の写真を胸に、眼前の焼け野原に大学を創ると誓った綾子(薬師丸ひろ子)。その時偶然邂逅したのが、日本で初めて女性一級建築士となった浜崎マホ(伊藤紗莉)だった。
第2夜は、日本の住宅に"ダイニングキッチン"という、当時からすれば”革命的に”女性に優しい台所を創った女性、浜崎マホの物語。
周りの男たちを巻き込みながら古い価値観を打ち破ろうと、組織のお偉いさんにも物おじすることなく進言を重ねるマホは、本当に強い女性として描かれていた。しかし根本に、人としての明るさと”愛”があり、故にただの気の強い鼻もちならない女では終わらない魅力がある。もちろん、彼女が目指しているキッチン自体も、当時の男たちの心を打つものがあった。つまり、家の北側にあり暗くて寒い台所で家族のために”飯炊き”をする、母親や嫁の姿を想像した時、もっと彼女たちに楽をさせてあげたいと男たちも思ったのだ。(当時の男尊女卑の日本人男性だけれど、優しさがないわけではないからね。)
マホとバディを組むことになる住宅公団の課長、本郷に成田凌。ちょっと気弱なところはあるが、戦後、高度経済成長に突入した日本の住宅に新しい風を取り入れようとする情熱はあった。逆境の中、マホに尻を叩かれながら組織の中で奮闘する様がコミカルに描かれたけれど”普通の人”として、才能あるマホと一緒に働くにしがたい、変化していく様が好ましい。(偏見だけれど、成田凌ってこんなに演技達者だったけ?と思ってしまった。ちゃんと彼の出演作を見ていないので、そう感じたのかもしれないが)
ラスト、マホたちの設計したキッチンが最後の難関に遭遇したとき、綾子と再会。そして綾子の”数字信奉”のおかけで、難関をクリアしたことが素晴らしい。ドラマならではのドラマチックな展開であったけれど、そこにウェットな描写が一切なくて清々しかった。
第1,2夜にわたり、女性が社会に進出する黎明期(と言えないだろうか?)、男社会の中で辛酸をなめ、耐え忍び、男の3倍以上働き・・・という根性物語としてではなく、努力のほかに、うまく仲間(支援者)を得て、武器を持ち、しなやかに男尊女卑や因習に挑んだ女性の物語として、心地よく鑑賞できた。
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