その年の米国アカデミー賞主演女優、助演男優、助演女優を含む7冠受賞。
授賞式で、主演女優のミシェル・ヨーと、助演男優賞のキー・ホイ・クァンの、それぞれ受賞時のハプニングが話題となったのも記憶に新しい。
コインランドリーを営むエヴリン(ミシェル・ヨー)。経営難の中、納税申告に頭を悩ましているが、夫のウェイモンド(キー・ホイ・クァン)は優しいだけで全く頼りない。その上、認知症の父親と、ガールフレンドを連れてくる反抗期の娘ジョイ(ステファニー・スー)。人生詰んだ感のある中年女性のエヴリンが、突然、マルチバースの使者に体を乗っ取られたウェイモンドから、マルチバースの脅威、ジョブ・トゥパキ(ステファニー・スー)から全宇宙を救ってほしいと頼まれる。
マルチバース、同時に宇宙がいくつも存在し、それぞれに様々な職業・シチュエーションでエヴリンが存在する。そして可笑しいのは、娘のジョイがマルチバースを崩壊に導こうとしているジョブ・トゥパキとして存在していて、娘の姿のトゥパキと戦うことになるエヴリン。
ある宇宙ではカンフーの達人、ある宇宙では大女優。1番笑ったのは指がソーセージの星人として登場した時。また、マルチバースにトリップする際、考えられる中で最もバカげたことをすると、スムーズに行けるというのも笑った。
どの宇宙でのエヴリンも、全てエヴリンその人と通じるものがあるようで、彼女の過去や夫、娘、父親への思いが、それぞれのシチュエーションの中でちょいちょい挟まれている。
正直、あまりにも唐突な展開とおバカな設定に笑ってしまうし、場面が行ったり来たり複雑で、途中わけがわからず3回に分けて観てしまった。終盤、私の腑に落ちたのは、マルチバースを行きかい、次々と繰り出される刺客と戦い、トゥパキに近づき、エヴリンが得たものは、”同性愛者である娘を理解する”ことだったのではないかということ。
実はそんなハートウォーミングなメッセージが隠されているとわかり、少しほっとしたけれど、エヴリン、なんでここまで忙しくマルチバースを飛び交わないとわからんのん?
アカデミー賞主演女優賞を取った、ミシェル・ヨーの大奮闘はすごかった。
キャリアのはじめはアクションスターとして活躍したとのことで、とても還暦を迎えた人の動きとは思えなかった。
そして、どこからくるのかその発想?!アイデア満載の作品であることも間違いない。
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