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はやし蜜豆の犬も歩けば棒に当たる、

好きな俳優の作品を集中して観るのが好き。その記録や映画の感想、日常気になる現象をぼそぼそ綴っていきます。

「サムライ」(1967年):アラン・ドロンの訃報に触れて

アラン・ドロンの訃報に触れ、彼のファンの同僚から強く勧められ鑑賞。

 

本作でアラン・ドロンは一匹狼の殺し屋、ジェフを演じている。
ほとんど表情を変えず、台詞も極端に少ない。
トレンチコートに身を包み、ソフト帽をいつも同じ要領できちんとかぶる。
清貧ともいえるアパートの部屋には、一羽の小鳥。実はその鳥の様子で、彼は部屋に何者かが入ったことを察知する。

「サムライ」というタイトルは、そういった殺し屋ジェフの在り様がサムライの生き方と似ているからなのだろうか。

情報屋から得た獲物については、一切詮索しない。報酬があるから殺る。
あれ?ならばなぜラストのターゲットに対して、ジェフは銃弾を抜いた拳銃を突き付けたのだろう?彼女が一度だけ、ジェフをかばったからだろうか。これもサムライが大事にする”義”(恩義)のためか?それとも女は殺らない・・?

 

説明らしきものがほぼないため、なぜ最初の殺しが起こったのか、女は殺し屋をかばったのか、一切わからない。冒頭、殺人が起こり、容疑者がジェフに絞られ、そこからは警察とジェフの追いつ追われつの攻防が延々と続く。しかし、警察以外にも殺しの依頼人側からも追われる身となったジェフは、自分を狙う者に決着をつける前に、いつもアリバイの証言をしてくれるコールガールに会いにいく。
思えば、自分の部屋に盗聴器が取り付けられ、パリ中に自分を追う警官が配置されている頃から、ジェフは殺し屋家業の終わり=自らの死を意識していたのだろうか。

コールガールに「心配事でも?」と聞き、その後「俺のせい?」と。
この「俺のせい?」は、数少ない彼の台詞の中でも印象に残った。この男にあんなふうに言われたら溶けていくだろうなあ。「何でもやってあげるから言って」とコールガールはすがるが「何もない」と短く答えたアラン・ドロンがカッコ良すぎる。

 

アラン・ドロンの完璧な美しさは、あくまでも男性として美しさだと改めて思う。眉間のしわ。徹夜の取り調べ後の目の下のクマやうっすら生えた髭。美しい造形の目鼻立ちとそれらの完璧な配置で、どんな場面でも色気と渋さが匂いたつ。

ほぼ無表情だと書いたけれど、時々揺れる青いの瞳で用心深い殺し屋の孤独や逡巡(?思考)がわかった。以前から思っていたけれど、アラン・ドロンは二枚目だけの俳優ではなく、マジ演技も素晴らしい。
”フレンチ・フィルム・ノワール”に含まれるという、作品としてのすばらしさもあるのだろうけれど、アラン・ドロンの魅力を堪能するのにはぴったりの1本。

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オマケ:アラン・ドロン作品の感想はこちら。もっと観なきゃね。

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