後半くらいから、清家(櫻井翔)を意のままに操る"ハヌッセン"は誰か、が謎解きの焦点となっていた。しかし、母親(高岡早紀)がもはやそれではないとわかってから、ハヌッセンは存在しないのではないかと思っていた。
果たしてーー、終盤の清家と道上(水川あさみ)の対峙の場面、清家の告白シーンでは身じろぎもできず見入ってしまった。
純粋無垢で正統派の仮面を被った、清家という男の闇と苦悩が吐露されたシーンは、櫻井翔の真骨頂に見えた。(申し訳ないが、それまで櫻井翔を演技が上手いと思ったことがなかった)
急にヒトラーについてまくし立てたり、不遜に満ちた顔つきで道上を見つめたり・・。本当は自分自身がわからず、孤独と絶望に打ちひしがれている男。その苦悩が十分伝わってきた。
今まで思い込んでいた清家一郎の姿とあまりに違う告白に言葉もなく、涙を流した道上だったが、最後に清家に放った決意の言葉にしびれた!カッケー!道上。
実は道上も、もう少しで清家を操る側に取り込まれようとしていたのだ。権力を陰で操るという美酒の沼から引き揚げてくれたのは、一緒に事件を追ってくれた先輩記者、山中(丸山智己)。ジャーナリストとしての矜持を思い出させてくれた。
(余談だけれど、本作で発見した丸山智己、シブオジ決定!今後注目俳優ですな)
それにしても水川あさみは、正義心の塊のような道上のキャラにメチャクチャはまっていた。
清家の話に戻るが、自分の信念もないのに、母親や友人、思惑を持ってに寄ってくる者たちの意見を言われるままに実行し、道上と対峙した5年後には総理大臣までに上り詰めている。しかし、その中身はマトリョーシカのようにいくつもの違う顔の人形が入っているだけで空っぽなのだ。
清家その人は何者なのか、何がしたいのか。もはや国のトップに立つその人の周りに悪意のない優秀なブレーンが揃うことを祈るしかないのか。
彼を見続け、理解しようとし続ける道上と清家の間には、もはや二人にしかわからない絆のようなものができていると思う。それをに示唆する終わり方も良かった。
今季私が見ていたドラマの中では1番だった。
最後に、聴衆の心を掴む清家・櫻井のスピーチは、ちょうど最終回のその日、自民党総裁候補に立候補を表明した、人気の二世議員と重なったのは私だけだろうか。
(☝作品HPを検索したら、同じことを感じた人が結構いたようでネットニュースになっていた)