間もなく生まれてくる子供を待つ幸せなカップル、ジャスティン(ニコラス・ホルト)とアリー(ゾーイ・ドゥイッチ)。ある日、陪審員の招集がジャスティンの元に届き、ジャスティンは痴話げんかの末、彼女を殺してしまったとされる男の裁判の陪審員となる。
裁判の最初で事件の概要を聞いたジャスティンは、その日、喧嘩したカップルがいたバーに自分がいたこと、豪雨の中走らせた車が鹿か何かにぶつかったことを思い出す。容疑者の男、サイス(ガブリエル・バッソ)は、喧嘩の末雨の中歩いて帰る彼女を最初は追ったが、結局彼女を放って自分は車で家に帰ったと主張していた。サイスは見るからにヤンチャで、彼女とは喧嘩が絶えなかった。バーで彼らの喧嘩を目撃した人たち、男が道路で降りて橋の下を確認する様子を見たとする老人も、皆サイスが犯人だと疑っていない。12人の陪審員のほとんどがサイスを有罪だと判断したのに、もっと話し合ってから決めるべきと主張したのはジャスティンその人と、元刑事のハロルド(J.K.シモンズ)だけだった。
サイスは、有罪か無罪か。
さっさと判決を出して、陪審員という重荷を下ろしたいメンバーをよそに、討議の末、サイスは殺していなく、ひき逃げだったのではないかという推論がでてくる。陪審員の中に医学生の卵がいたり、件の元刑事や推理好きがいたり、それぞれの視点で、サイスは無罪では?と指摘する。その過程で、彼女をはねたのは自分であると確信していくジャスティン。
ジャスティンは、アルコール依存症だった過去があり、今もセラピーに参加している。バーに行って一滴の酒も飲まなかったが、それを信じる者はいないだろう。彼があの夜のことを告白すれば、彼を受け入れてくれたアリー、そして生まれてくる子どもとの幸せは葬り去られるーーー。
究極の心理劇。ジャスティンは、自分があの夜彼女をはねたと真実を告白するべきなのか。それとも、喧嘩して彼女を雨の中歩いて帰らせるという非道をしたサイスを獄へ放り込むべきか。
真実が正義なのか。正義とは何か。
保身と良心に揺れる主人公とともに、自分がこの状況ならどうする?とずっと問いかけながら観た2時間だった。
追記:検察、弁護人、裁判長、陪審員の面々。誰も悪者はいなかった。サイスを犯人と決めつけていた検察官(トニー・コレット)の確信が揺らぎ始め、真実を見つけようとする姿に、法に携わる人たちの矜持と信念が見られて良かった。
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