先日書いた「キツツキと雨」の感想に、コメントで本作を薦めていただいたので鑑賞。沖田修一監督作品。
紅葉の山奥にある滝を見に行くツアーに参加した7人の中年女性たち。新人ガイドが滝を探しに行って戻ってこず、ガイドを探し始めたのはいいが、彼女たちも道に迷ってしまう。携帯電話もつながらない山中で、その日知り合ったばかりの7人が一夜を明かすサバイバル・コメディ。
7人はオーディションで選ばれ、演技経験のない人もいるとのことで、たぶんこの人は初めての演技かなあと何となく見当はつく。訥々とした会話がいかにも台詞を言っているようだったが、2人組を除いてその日に知り合った人たちという設定もあり、あまり違和感はなかった。
名前もバックグランドも知らない者同士、最初はギクシャクしたけれど、とにかく山の中で無事に過ごさなければならなくなり、そうと決まれば”協力”’協調”の精神と”女子力”を発揮し始める。
口数少なくおとなしい感じの主婦が、サバイバルになって機転と野性味を見せたり、元教師の写真好きのおばちゃんが、ポジティブに一行をひっぱたりと7人それぞれの個性が描かれていて面白い。
特に深刻な問題を抱えた人物も、心に闇がある人物も登場しない。
私はあの人のタイプだなあと自分を投影できるような普通のおばちゃんたちが、山の中で食べられるものを調達し、火をおこし、野趣あふれる食事をするうちに、いつのまにかお互いをニックネームで呼び合う中になっている。ヘビを見つけては逃げ回ったり、失恋の告白をして号泣したりと、女子高生に戻ったみたいなおばちゃんたちが微笑ましい。
昔、公共の場で楽しくうるさく盛り上がっているオバサングループを見たけれど、いくつになっても”高校女子”の性根は残っていて、その時と同じテンションでいるだけなのだと思う。女子高生が盛り上がっていたら大目に見てもらえるかもしれないが、オバサンだと眉をひそめられるとはこれいかに。まあ公共の場でうるさくするのは、老若どちらも気をつけなければならない。
ちなみに、おっさんにも少年の性根は残っていると思っている。
最終的に滝を皆で見ることができて、清々しい喜びに浸るおばちゃん7人。
彼女たちの明るさと自然な演技に、同じくおばちゃんの私はたくさんパワーをもらい、困難に立ち向かう勇気をもらった。
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