うた=歌麿(染谷将太)に、本作の脚本家はアタリがきつ過ぎやしないかい?とマジで思ってしまった。
少年時代、ひどい母親を見捨てたことで自分を否定し続け、蔦重(横浜流星)の元を去ってからは身を売る自暴自棄の暮らし。絵の才能に改めて目覚めて、その後、最愛の女、きよ(藤間爽子)と出会い、やっと人としての幸せをつかんだと思ったのに、きよを梅毒で亡くしてしまう・・。
亡きがらが変化していく様をも美人画として描き続ける歌麿。悲しみに暮れ呆けた様、心配する蔦重を疎ましく思うほどに気力がなくなってしまっているのが痛々しい。
以前は、蔦重に思いを寄せていたうた。(彼は本作ではバイセクシャルとして描かれていた)蔦重が政略結婚でてい(橋本愛)と結婚後、夫婦の情を育んでいくのを間近で見て、蔦重への思いを封印し絵の世界に没頭していった。
複雑な何層にもなる天才の心象を染谷将太が出色の演技で見せてくれた。
彼の悲恋も、絵で苦悩する様も、きよとの束の間の幸せも、視聴者としてずっと見守ってきただけに、今回の歌麿の展開は堪えた。それでも、蔦重が”ばばあ”と呼ぶ、蔦重の母親、つよ(高岡早紀)のうたへの優しさが沁みた。
地方の豪商の襖絵を完成させた後、次に登場する時は美人画の歌麿として再復活させてくれることを切に願っている。
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