中年の男(板尾創路)の性欲のはけ口として、男と一緒にいる空気人形は、ある日心を持ってしまう。
心を持った人形=のぞみ(ペ・ドゥナ)は、男がいない昼間、部屋を抜け出し、町を散策。そしてビデオレンタルショップで働く純一(ARATAのち井浦新)に恋をする。
世間で起こった事件を自分事のように交番に話にくるおばあさん(富司純子)
若い子にいつまでも”若さ”で対抗しようとしている年増の受付嬢(余貴美子)
元代用教師で、孤独に暮らす老人(高橋昌也)
ストーカーまがいのオタク青年(柄本佑)
過食症の女(星野真里)
やもめ暮らしのビデオレンタルショップの店長(岩松了)
そして、「僕も空っぽで、君と同じようなものだ」という純一。
のぞみが出会う人々は、どこかむなしく孤独を抱えている。
心を持つということは、どうしようもない孤独を抱えながら、それでも人との関係を求めるということなのだろうか。
のぞみは、はじめ中年男にセックスの代用として必要とされたが、心を持ってからは何かの代用ではない、彼女自身を必要としてくれる人を探していたのかもしれない。
そして最後は自分を必要とする人がいなくなったことに気づき、彼女は自分で空気を抜いたのではないかと思う。
出会って別れて、いろいろ悩んだ後、自分を作った工房へ行き、人形師(オダギリジョー)と出会ったのぞみは「生んでくれてありがとう」と言った。
心を持ってからののぞみの冒険は、短く切ないものだったけれど、それでも心を持って彼女は幸せだったのだと思う。
ペ・ドゥナの、人形のようにまっすぐでセクシー”でない”足、ツンとした小さな胸、スレンダーな全身。歩き方、表情。驚異的な瞬きの少なさで完璧な人形を演じたのが素晴らしい。心を持った後、世間のいろいろなことを知って驚いたり、喜んだり、嫉妬したり、子どものような純真さで心を持った人形として成長していく様が可愛らしく愛おしかった。
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