Netflix の作品紹介を見て、本当に障害がある人が演じているのかと思ったのだが、主人公リウ・チェンフーを演じたのは、イーヤン・チェンシー/ジャクソン・イーという中国のアイドルグループTFBOYSのメンバーだという。アイドルグループのメンバー???
メイクと表情の演技により、さわやかなイケメンは封印され、意思に反して動く首、表情、独特の歩き方―脳性麻痺を患う青年を完璧に演じた。その演技があまりにレベチで、ついイー・ヤンチェンシーでググったら、子役時代からドラマや映画に数多く出演しており、中国の戯劇学院の演劇専攻に首席で合格したテッパンの経歴の持ち主だった。
脳性麻痺で体が不自由に見える人でも、全ての人が知的障害を持っているわけではない。イー・ヤンチェンシー演じるリウ・チュンフーは、祖母に生活を助けてもらいながら教師になるための大学を目指している。同時に、祖母が参加するシニア合唱団の太鼓の担当もすることになり、老人たちと一緒に演奏練習にも励む。両親がいないのはなぜだろうと思ったが、あとでわかったが母親は第2子を産むためにリウを自分の母親に預けていたらしい。リウに弟か妹ができるということは内緒にして。。
障害児を持った母親の苦悩はわかるが、リウのことを弱者と決めつけ、彼の意志を全く尊重しないのはひどすぎる気がした。一方で、孫の可能性を信じて愛情深く見守る祖母の大らかさには救われた。しかしその祖母にも、自分の娘に対して消えない罪悪感がある。物語は複雑な親子関係を描きながら、落ち込んだり喜んだりしながら、それでも一歩一歩確実に成長していくリウの姿をまるでドキュメンタリーのように追う。
映画は障がい者とお年寄りという社会の中の弱者を物語の中心において、現代中国社会の日常の一端を見せてくれた。
太鼓の練習中に偶然知りあった女の子。彼女とのデート”もどき”。ダメ元で受けたカフェの面接後、採用されたこと。障がい者雇用で採用されたのは承知だが、それでも労働は人に尊厳を与える。リウが祖母と喜ぶ様がまぶしい。
心のわだかまりをリウが母親にぶつけるシーンでは心が痛み、リウが祖母から巣立とうとするシーンでは心が震えた。
何事もはっきりとモノをいう国民性なのか、障がい者に対しても容赦ない厳しさ。だけど逆に腹の底に収めたような陰湿さも感じられなかった。
中国でもオレオレ(特殊)詐欺の電話が老人にかかってくるし、カフェの店員は若者にとって憧れの仕事。リウがスマホの扱い方をお年寄りたちにレクチャーするシーンなど、今の日本とあまり変わらない情景に親近感を覚えた。
監督・プロデューサー、脚本、全て女性。主な登場人物も、主演のリウ以外は祖母、母、女の子、と舞台挨拶の動画を見たが女性が目立った。男性優位の日本の映画製作の現場と比べてちょっといいなと思った。東京国際映画祭で観客賞を受賞。
最後に、イー・ヤンチェンシーの演技は本当にすごいから、Netflixに入っている方は是非チェックして欲しい。マジ、すごいから!
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