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はやし蜜豆の犬も歩けば棒に当たる、

好きな俳優の作品を集中して観るのが好き。その記録や映画の感想、日常気になる現象をぼそぼそ綴っていきます。

「マンゴーの樹の下で〜ルソン島、戦火の約束」

第二次世界大戦下、民間人たちの悲惨についても多く語られてきたと思うが、遠く離れた異国の戦地で民間の人達に起こった悲劇を語り継ぐ作品。

岸惠子(凛子役)の若い頃、ルソン島での終戦間際のサバイバルを清原果耶が熱演。

戦況劣性となり、民間の女たちも食料調達(島民の畑から略奪)に駆り出され、ジャングルを行進するうち飢えと衰弱で仲間が倒れていくなか、凛子(清原果耶)とフィリピン現地で共に働き親友となった混血の娘、綾(山口まゆ)は固い絆でお互いを守り生き抜く。二人でいたからこそ正気を保つことができ、敗戦後日本に戻ってからも二人して小さな写真館を営んで生きてきた。

物語は故郷フィリピンの地を踏むことなく亡くなった綾の葬儀後、凛子(岸惠子)の回想で進んでいく。

何がなんでも生き残るためには、仲間の、尊敬していた上司の遺体からも、荷物を奪えるだろうか。どこまでが正気の行為か自分で考えることができるだろうか。そんなことを考えながら凄惨極める島での彼女たちの逃避行を見た。綾と凛子の友情と女の強さ、10代の2人の女優の熱演が光った。 

綾がなくなり、写真館をたたむ決意の凛子を助けつつ、立ち退きを促す不動産屋の社員で林遣都がちょろりと登場。好青年にして、年寄りに立ち退きを確実に進めていく、偽善でも”善”であることにな変わりない、実際にいそうな町の不動産屋の社員。

同じくちょろりで安藤サクラも登場。店を畳んで老人ホームを検討している凛子に思いを寄せ、余生を共に生きたいとする田宮(伊東四朗)の娘役。伊東四朗がいっさい笑いなしで、恋愛ものを真面目に演っているのが新鮮。そして岸恵子が老齢になっても男に言い寄られるだけの美しさと品があるのが素晴らしい。戦争中に商社の女性社員=タイピストとして異国に赴任した主人公を演るにはどんぴしゃのキャスティング!