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はやし蜜豆の犬も歩けば棒に当たる、

好きな俳優の作品を集中して観るのが好き。その記録や映画の感想、日常気になる現象をぼそぼそ綴っていきます。

「パリタクシー」(2023年)「TOKYOタクシー」(2025年):オリジナル仏版→リメイク日版を連日で観た感想

長く生きることも悪くない。人生の最後の最期、とても素敵な時間が待っているかもしれない。

人生100歳時代と言われても、年金だけでは暮らせないし、物価はどんどん上がるし、大病を患わなくても長く生きることはリスクだと考える人もいる。
しかし本作を観れば、どんな人生でも長く生きてきたこと、それ自体が尊敬に値するような気持ちになる。

原作のフランス版では92歳のマドレーヌ(リーヌ・ルノー)、リメイクの日本版では85歳のすみれ(倍賞千恵子)。お金持ちそうな身なりの老婦人を乗せた、金欠で余裕のないタクシー運転手、シャルル(ダニー・ブーン)、宇佐美浩二(木村拓哉)。

老婦人が高齢者施設に向かうために乗ったタクシーで、彼女の終戦前後からの波乱の人生が運転手に語られ、運転手も彼女に促されるように、愛して結婚した妻のこと、娘のことを話す。
老婦人の過去は、時代背景も手伝ってびっくりするほど劇的で壮絶。しかし、それを事細かく描くのではなく、あくまでも彼女の記憶の中の鮮明な部分として描いている。日本版では、すみれの若いころを蒼井優が演じていて昭和の時代に珍しく気の強い女にぴったりだった。

パリ/東京の老婦人の思い出の場所をめぐりながら、お互いの物語を話し聞くうちに、二人はすっかり打ち解ける。仏版で、最初は余裕がなく厳しい表情だったシャルルがだんだん柔和で楽し気な表情に代わっていって観ていてほっこりした。

老婦人を演じたリーヌ・ルノー、倍賞千恵子の二人は本当に素晴らしかった。倍賞千恵子と木村拓哉の掛け合いでは、倍賞千恵子のくすっと笑える合いの手が秀逸だった。

東京版のラストシーン、宇佐美が妻子を乗せた車を運転しながら、自然と流れる涙をぬぐうところでもらい泣きしてしまった。
お金に余裕のないタクシー運転手に木村拓哉もないだろうと正直思ったけれど、中年でもあのくらい自然にスマートでカッコいいい運転手じゃないと、人生最期の出会いのご褒美にならないか、、と思ったりもした。

 

すみれの若い頃のクソ夫に迫田孝也。
この人、「VIVANT」以来クソ野郎の役ばかりになっちゃったら気の毒~と思っているけれど、たぶん「豊臣兄弟!」で家康の腹心、石川数正役でこれから魅せ場があることを期待している。

明石家さんまと大竹しのぶが声の出演をしているのだが、それいらんわと思ってしまう。。。だけれど、これも松竹130年記念作品、山田洋二、だから小林稔侍も必要なんだ・・・、と鑑賞後余計なことを考えた。
フランスのオリジナル、そして山田洋二のリメイク、どちらも暖かい気持ちになれるいい作品だった。

パリタクシー

パリタクシー

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TOKYOタクシー

TOKYOタクシー

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「Tシャツが乾くまで」- 5:蒼井優、松山ケンイチ、2人ならではの絶妙コント⁉

第9話、めっちゃ面白かった!
生方美久(脚本家)、さすがだなあと感心することしきり。

咲子(蒼井優)が自分の過去を充(松山ケンイチ)に打ち明けるシーンは、もはやコント。二人とも上手いなあと今さらだけど思う。

咲子の夫が失踪という現実に対して深刻になり過ぎない様子、わりと簡単に充以外の男性、樹生(中島歩)を頼る様子―。充に見せていない咲子の別の面がわかり、それまでの咲子の言動が腑に落ちた気がした。

そして1年ぶりに家に帰ってきた充の、咲子を追いかける視線がまるで子どもであることも、マツケンの演技のすごいところ。

思うに、二人とも自分が欲しかった親の愛を得られないまま、大人になってしまったということだろうか。

お互いの過去と秘密を打ち明け、お互いが大切であることは変わりないのだから、やり直すことにした2人。

しかし、相手を思いやるあまり、必死で努力する日常になる。「生活って一生懸命努力して続けるもの?」と、また素晴らしい台詞が出てくる。

ある程度は共同生活を維持するため努力は必要だけど、時々怠けたり素のままでいられるのが家族なのだと思う。素のままでだらしないせいで、家族の誰かが迷惑を被るとしても、それはお互い様なのだと。
こんなおしゃれなカップルの家を見ながら、思わず我が家の状況に目がいっってしまった。(笑💦)

家族は面倒くさくて、ゆるゆる優しいものだなあ。

 

とにかく、やたらと脚本と主演二人の演技に感心した回だった。

そして、樹生の、妻を突然事故で失った不幸からの、妻の不倫を疑った相手の嫁(咲子)との”事故みたいな”出会い。そしてその妻とその夫が”変わった夫婦”であることで、今となっては巻き込まれた感が否めない、なんとも滑稽な存在になってしまった男もくすっと笑える。あのペーソス感は中島ならではだよなあ。

突然登場したイノッチ(井ノ原快彦)とそのパートナーの田辺桃子のキャラもすごく良かった。田辺桃子はいつも全然違うキャラクター演じていて、こういう登場の仕方の田辺桃子がかなり好きだ。

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「VIVANT」- 16:そうきたか!3役する堺雅人が面白すぎる

堺雅人がまさかの3役。乃木憂助、乃木の中にいるもう一人の乃木であるF、そして野崎(阿部寛)の元部下だったリュウミンシュエン。

しかも、リュウミンシュエンは野崎に思いを寄せるゲイ。新庄(竜星涼)を愛していたチョッキーに続き、本作2人目のLGBTキャラ。

野崎も新庄も日本の公安のトップクラスにいた人物。その二人が奇しくも同性に一方的に愛され、しかも野崎のほうはそのせいで苦境に陥っている。

SNSでは、「私に嘘はつかないでー!!!!」とビンタとともにリュウが野崎に叫んだ動画が大バズリしているが、正直それを見るまで私はそのシーンを忘れていた。だって、堺雅人のリュウがあまりにもインパクトが強すぎて・・・。
登場した時は、中性的なイケメンエージェントとして、カッコいいと思ったのだけれど、野崎への偏愛が過ぎて、しゃべりだすと粘着質な愛がダダ漏れていて何とも言えない。

結局、野崎は中国の諜報機関、シンシーに日本を売ったのではなく、シンシーに潜入を企てていたわけだが、それもリュウの登場で危機的状況になった。

松坂桃李演じる黒須を含む、シンシーに拉致監禁されている別班4名の運命は・・?

つーか、ニノ(二宮和也)=元テントのノコルたちってどうなってる?
シンシーがテントの詳細を知りたがっているので、残りの数話で登場するとは思うけど。

 

 

 

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「フロントライン」(2025年):やはり観て良かった ― 観るべき作品です

2020年2月に、横浜港に入港した豪華客船、ダイヤモンド・プリンセス号の船内で、新型コロナウイルスの集団感染が発生した。
感染拡大を防ぐため、船の中で感染者を隔離しながら未知のウイルスと対峙したDMAT(Disaster Medical Assistance Team)メンバーの闘いを描いた実話に基づいた物語。


2020年の2月と言えば、新型コロナウイルスが中国で発生したウイルスで、感染スピードが早い、肺炎の症状が出て死に至ることがある、といううわさ話のような情報で、その実態、全容がまるで分っていない頃のことだ。
ダイヤモンド・プリンセス号の集団感染のニュースは、船内に隔離された人を気の毒に思うと同時に、この人達の下船について戦々恐々とした記憶がある。(あの時日本は、まだ水際で止める作戦だったと思う)
しかし、船に乗り込みコロナ患者を治療したことで、ばい菌を見るように扱われた医療従事者=DMATのことや、感染リスクがある中、乗客のケアやサービスをし続けたクルーたちのことまで、当時の私は思い及ばなかった。(自分の想像力の乏しさが恥ずかしい)

 

ーフロントラインー最前線。
そのタイトルが示す通り、あの船に乗って、患者を前にして、対応するクルーと一緒に船内を見て、身をもって理解できることがある。

DMATを率いた結城に小栗旬:
基本は船外の神奈川県庁対策本部で指揮。厚労省や世間の風評と現場の板挟みで、眉間の皺が伸びることなし。船内で感染して苦しむクルーを看て、現場の苦しみ、痛みをより一層理解する。

厚労省役人、立松に松坂桃李:
優秀な官僚で現場と対峙するのかと思いきや、臨機応変に職権を乱用するあたりがとてもクールでカッコいい。濃厚接触者として隔離されるために下船した外国籍の幼い兄弟との出会いで、自らを責める場面も。

船内のDMAT現場指揮官、仙道に窪塚洋介:
軽くてチャラいイメージのある窪塚が、その雰囲気を残したまま、強い正義感と責任感を持つ現場指揮官を熱演。窪塚らしくてとても良かった!

現場DMATを代表する感じの医師、真田に池松壮亮:
岐阜に妻子を残して乗船。黙々と現場の命と向き合っているが、自分がコロナ患者を治療したことで妻子がいじめられることが耐えられないと結城に訴える。顔にくっきり残った医療従事者用のマスクの跡が彼らの激務を物語る。

そうだった。当時看護師や医師の頬には、マスクの跡が痛々しくついていた。
そして、医療従事者に感謝を表す行動が各国であったことを思い出した。

 

全世界が同時に見舞われたコロナ感染症を経験した私たち。現在でもアフリカではエボラ出血熱で数千人がなくなっているし、いつまた未知の感染症に襲われるかわからない。その時に、この経験を生かさなければならないと改めて思った。(マスコミもな)

 

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「Tシャツが乾くまで」- 4:やっぱり面白い。面白くなってきた!

なーんか、まさか、あれじゃない?って想像したことが本当になってしまい、それじゃあ特殊な例になっちゃうじゃん、と思っていた通りの展開に・・・

充(松山ケンイチ)が失踪した理由は、逃避癖だった。それを最愛の妻、咲子(蒼井優)にどうしても打ち明けられなかった。愛しているのに、どこかで咲子との生活から逃げたいと思い始めた自分がいて、愛しているのになぜ?と、咲子の理解を得る自信がなかったから。
その衝動を何とか抑えて、咲子との幸せな生活を続けられていたのは、毎月第3金曜日にコインランドリーで交わすあずさ(夏帆)との時間があったおかげだ。
妻のいる家庭から毎月1回、数時間逃避できる。
そのことで自分の逃避衝動と折り合いをつけていたということらしい。
しかし、両親に会いに行こうとした長野へのバス旅行の途中で、ついてきたあずさを簡単に置き去りにしバスから逃げた。つまり、あずさとて、一時の充の逃避衝動を押さえることはできても、それを消すような存在ではなかったということ。

しかし、不倫でなくても自分の知らない夫の内面を知る女性の存在。そして夫が彼女に自分の弱さを託していたようなところがあると知った妻が、平気でいられるわけがない。と、この物語では言いたいようだ。

でもね、でもね。誰かに全部を求めるのは無理なのよね。たとえ夫婦でも。
”愛しているから咲子には言えなかった”と告げられ、
”一番お気に入りの服はしまっておいて、汚さないってこと?”(ほかの誰かには話せる自分の弱いところを、私には傷つくかもしれないという理由で話せなかったの?)

結局咲子の望みは、結婚当初に”お互い言いたくないことは言わくていい”という約束を反故にして、私には何でも話して、ということではないか?
充も、あずさとのたわいもない時間への依存が少しずつ大きくなったことを悔いていて、そりゃ確かにそうだと思うのだけれど。

 

さて、次回は家を飛び出してしまった咲子をめぐり、充が関係各位を集めてミーティングをするらしい。
今のところ、蒼井優の泣きの演技に感動し、やられている視聴者が多いようだけれど(まあ、私もその一人だけれどね)次回は針の筵(むしろ)に座るマツケンの魅せ場だね。

※ところで、針の筵って死語かな、、今の人って筵が何か知っているのかな・・・?
ちなみに私は現物を見たことがあります。ただ、こういう漢字だってことは知らなかった。

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「豊臣兄弟」- 4:来たよ、きたきた!”悪ーい”秀吉

笑顔で全く悪びれず、いけしゃあしゃあと、清須で家老仲間 ― 丹羽長秀(池田鉄洋)、池田恒興(堀井心太)、滝川一益(猪塚健太)、柴田勝家(山口馬木也)を出し抜いた秀吉(池松壮亮)。
繰り返し映される、息子を亡くして泣く秀長(仲野太賀)の顔を引き寄せ、自分が信長の遺志を継ぐと宣言するシーンは、お市の方(宮崎あおい)が言ったように、織田家を倒してでも信長の夢見た天下統一、天下泰平を成し遂げるという秀吉の決意を視聴者の目に焼き付けたかったのだろうが、イマイチ弱い。正直これまでの秀吉の言動が、殿(信長:小栗旬)一辺倒過ぎて、その先の天下泰平に結びつかない・・。まあ、それが真実なのかもしれない。まずは、自分が日の本のトップに立つこと、天下泰平はそれから様々な調整と施策でなし得ることなのだろうから。
仲間を出し抜いてでも、自分が筆頭家老と宣言したことに大儀はあるのかもしれないが、やり方がなあ、、、
正直「清須会議」の放送回を見た後は、もやもやした気分になった。

そして秀長(仲野太賀)は、兄の所業に唖然としながら、もはや泣き落としや正論だけでは国をまとめることはできないと腹をくくった様子。

 

次回は「賤ケ岳の決闘」。柴田勝家=山口馬木也とお市の方の魅せ場だろうな。
本作、戦国武将の中でも山口の柴田勝家は圧倒的な熱量と迫力がある。「侍タイムスリッパ―」の名演で再評価された感のある山口。少なくとも私はこの俳優を再発見だったので楽しみな回となる。

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「夏の砂の上」(2025年):何度も上演された傑作戯曲の映画化

観終わって「夏の砂の上」というタイトルについて考えた。
夏の砂の上に水をまいても、すっと砂が吸い込んでしまいすぐ乾く。そんな様子が思い浮かんだ。
ああ、そうか、これはカラカラに乾いた心に水を差してもすぐに水は消えてしまう、愛が乾ききってしまっている、そんな人たちの物語だったのだと思った。

5歳の息子を水の事故で亡くした小浦(オダギリジョー)とその妻恵子(松たか子)。
小浦は勤めていた造船所がつぶれて職を失っても、息子の死を悔やむ気持ちから抜け出せず、職安にもいかず、ぶらぶらしている。
そして、前を向くことを拒むような小浦に恵子は愛想をつかし、寄り添ってくれた小浦の元同僚、陣野(森山直太朗)といつの間にか懇ろになっている。
小浦はそのことにうすうす気づいているが、陣野との元同僚としての付き合いも続けているし、恵子を問い詰めることもしない。

恵子が離婚届を持ってきてハンコを押した帰り際、「本当にあきお(亡くなった息子)はいたのだろうか」と恵子に呟いた小浦。
たぶん、離婚届けを受け取った恵子が"今、ほっとしている。これで小浦との過去も忘れて、小浦なしで生きていけると思えた"と言ったからではないか。
恵子こそ、まるであきおと3人で暮らした日々をすっかり忘れて、新しい生活に踏み出そうとしているようだった。

 

恵子、小浦の妹の阿佐子(満島ひかり)も、本作の女性は自分勝手でやたら強い。ついでに阿佐子が小浦の元にあずけた娘の優子(髙石あかり)もだ。

息子を亡くし、職を失くし、妻にも逃げられてしまった小浦は、八方ふさがりに見えるけれど、突然来た姪の優子と暮らすことになり、大人として働くことにしたし、伯父として優子の生活に責任を持とうとする。
優子は、妻に逃げられたおじさんを端で見つつ、息子を亡くした彼の深い悲しみも知ることになる。

二人が出会ったことで、細くても愛の水脈がどこからか流れ始めたような気がした。

そして何日も雨が降らず、給水車を頼る長崎の夏に大雨が降った。小浦と優子の元にも。

 

オダギリジョーは実際に次男を亡くした経験を持つ。小浦を演じるにあたりきつくなかったのだろうか。と思いつつ、最近とぼけた役やダメ男の役の彼ばかり観ていたので、久しぶりにマジメな役を演っているのを観られて良かった。

松たか子、満島ひかりも流石の存在感。意外だったのは、陣野を演じた森山直太朗がとても良かったこと。間男なのに、そのことに十分罪悪感を持っており、彼なりに誠意を表そうとしているところがなんともぴったりだった。

爪痕を残したのは、陣野の妻を演じた篠原ゆき子。一瞬登場しただけだが、亭主の浮気相手の夫への強烈な抗議は印象に残った。
優子と”やりたい”だけの大学生を演じた高橋文哉は、こういう作品にも出演してどんどんキャリアを積んでほしいと思った。

夏の砂の上

夏の砂の上

  • オダギリジョー
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