はやし蜜豆の犬も歩けば棒に当たる、

好きな俳優の作品を集中して観るのが好き。その記録や映画の感想、日常気になる現象をぼそぼそ綴っていきます。

「麒麟がくる」- 4

染谷将太演じる織田信長に最初の狂気を感じたのは、自分が嫁をめとった祝いに、松平広忠(竹千代、後の徳川家康の父)の首を親(織田信秀=高橋克典)に献上したくだり。

政治的にも事を急いたとし、またあまりの場違いな献上に父親に激しく叱責され、落胆する染谷・信長。その行動自体も常軌を逸しているが、ただ父親に褒められたいからやったという、その理由もまたその後エスカレートしていく激しい気性の伏線のようで、背筋が凍る。そう、彼は幼い時から望んでも望んでも与えられたなかった、両親からの愛、その代償として天下統一の野望を追っていくのではないか・・・。

その後の回で、信長に嫁いだ帰蝶(川口春奈)が、郷里の家臣、明智光秀(当時明智十兵衛=長谷川博己)のことを懐かしく(愛おしく)語る言葉を遮った時も、またまたヒヤッとした。えっ?まだ、家臣にもなっていないこの時期、すでにこの時から、光秀に興味を抱きながらも、自分の女が嬉々として語るその男のことを良く思わない心が芽生えているのだ。

そして前回、死を前にした父親の遺言に不満を持ち、弟を溺愛する母親を憎み、その母親の言いなりだと父親をも憎む様は、まるで駄々っ子のよう。それを取りなすためにウソをついた帰蝶の言葉を信じたふりをした信長(染谷)の笑顔に、またまた戦慄。だってそんなことを死にかけた父親が言うわけがないことを、誰よりも信長自身が知っているのではないか。しかし、彼の納得した笑顔を見て感じたのは、信長は帰蝶の言葉を聞いた瞬間、それまで両親を始め誰一人彼を理解しない中、帰蝶が自分に寄り添い、自分を鼓舞してくれる存在であることを理解したのではないか。

 

とにかく、演っているのが染谷将太なのだ。感情のレイヤーが何層にもありすぎて、こちらもドキドキしながら見てしまう。織田信長という豪傑かつ繊細、一見明るく、しかし底なしに暗く深い井戸のようなものを抱えた男をどう演じるのか。もうね、長谷川さん(=主人公、明智光秀)は、うかうかしていたら食われちゃいます。

まあ、染谷だけでなく、モッくん(本木雅弘)の色気だだ漏れの暴君、斎藤道三や、向井理の憂いに満ちた美しい将軍など、さすが大河ドラマだけに魅力的な人物があまた登場するのも事実。少しの出番なのに通常の連ドラだと2番手くらいにくる俳優が出ていたり・・・。

戦国武将が猛々しく戦い、権謀術数を尽くす中、実は親子・夫婦の愛憎劇も丁寧に描かれていてより面白く感じた。

 

「カラマーゾフの兄弟」(2013年)-2

冒頭から殺人遺体で登場する、黒澤家の当主、黒澤文蔵(吉田鋼太郎)を殺した犯人捜しの話は、容疑者として3人の兄弟の取り調べから始まる。殺された文蔵は、事業家として一代で財をなし、その土地で彼の事業の恩恵を受ける者は多いのだが、やり方が非道かつ悪徳、人物も、酒好き、女好き、その上、金の亡者であり、彼を憎む者は実子の兄弟以外でもかなりいるという設定。

吉田鋼太郎がシェークスピア俳優としての力量をいかんなく発揮して、その絶対的ゆるぎない”悪”を完璧に演じきっていた。黒澤家の豪邸の外観は、鎌倉文学館とのことだが、屋敷の中も(セットだろうけれど)外観通りの時代じみた洋館。その中でガウン姿がここまでに似合う俳優もそうそういまい。カッケー!鋼太郎さん。

 

一話ごとに3兄弟それぞれが父親を憎む背景が紐解かれていく。

最初から最後まで眉間の縦皺を解くことなくしかめっ面、深刻かつ沈痛な面持ちで父親との葛藤と闘うエリート弁護士の次男、勲=市原隼人。あまりに固定された表情と強張った感じの動きに、ロボットかと思ったよ。それまでの真っすぐ実直、熱血漢の役のイメージとはまるで違う、切れ者だけに何を考えているのかわからない、急に人を殴り殺しそうな憤怒を隠した若者を熱演していた。

長男の満を演じた斎藤工は、金持ちのボンボンの甘さと、粗野、軽さ、思慮の浅さと長男の人の好さを体現して十分。父親殺しの罪をきせられ、自分を嵌めたのは弟の勲ではないか、エリートの弟を妬む心と、長男として二人の弟を横暴な父親から守れなかった不甲斐なさを感じている、実は優しい男。

そして三男の涼=林遣都はと言えば、二人の兄に守られ、イヤのことに目を伏せて見なかったことにしてひたすら従順を貫くことで自己防衛して育ったアマちゃんとして存在。あの屋敷であの親で、なぜそこまで純粋に育った?と思うほど美しい心(と言いつつも、父親への憎悪は兄2人並みには持っている)の青年を、林遣都がブレずに疑う余地なく演じていた。素直に兄を慕う様子は、林遣都そのものではないかと思うほど。(実際次男さんですし)

 

長男の満が濡れ衣を着たまま、真実が闇に葬られようとするのを、少しずつ真実への扉をこじ開けていったのは、実は涼の、亡くなった母を思慕する思いと、純粋な良心だった。そして、二人の兄のお互いに向けられた疑念と不満の蟠りをとかしたのも、二人の兄を信じる涼の、兄たちを疑わない心だったように思う。絶対に兄二人は父親を憎んでも、殺したりはしないと。

それを裏付ける背景として描かれる、幼少期の彼らの屋敷での生活は悲惨そのものだ。父による母への暴力と兄弟たちへの虐待、挙句母親は自殺してしまうのだから。(ちなみに母親に、母親役をやるには若すぎる、でも当時からやっぱり上手かった安藤サクラ。)

父親殺しの真犯人への近づいていくクライマックスは、戦慄のシーンも。いよいよ松下洸平の独壇場!

 

 

 

新型コロナウイルス:社会の不安が増幅するの中で - 1

志村園長(志村けんさん:親しみを込めて敢えて園長)が新型コロナウイルスに感染したというニュースは、芸能界での最初の感染者ということで衝撃が走ったけれど、その後1週間そこらも経たないうちに、彼が亡くなったと言う知らせに、多くの人が驚き、悲しみ、とてつもない喪失感を味わったのではないだろうか。

芸能人の誰かが亡くなって、その事実だけで泣いたという記憶は今までない私だけれど、このニュースには自然と涙が流れた。「天才!志村どうぶつ園」で、パン君(チンパンジー)やプリンちゃん(パン君の娘)を見つめる、まるで自分の子供や孫をみるような優しい顔を思い出した。

同時に頭をよぎったのは、彼の命を突然奪ったのがコロナウイルスであること。これで、若年層の不用心な外出が、少なからず自粛されるのではないか。自分がキャリアになるというリスクを自覚したのではないか。

志村園長が亡くなってから、追悼コメントや番組を見ながら、改めてその人柄を知り涙しながら、ふと、この泣くという行為は、現在自分達がおかれている状況に対して、愚痴の捌け口もない、やり場のない怒りみたいなものを、少しでも浄化しようとしている、生理的反応なのではないかと思えてきた。

そして、それができるなら、生理反応のままにしていいと思った。日常が少しずつ非日常になっていくのではないか、世界のコロナウィルスに関するニュースや、身近なところではスーバーの空になった棚を見るにつけ感じる不安に、蓋をしたままではいつかおかしくなる。

園長の死を悼み、泣きながら感じたこと。

 

 

 

「カラマーゾフの兄弟」(2013年)-1

2013年と言えば、私にとってはついこの間のように感じる年だ。だけど出演者を見ると今の彼らの容貌から比べると随分若い。そこで7年も前の作品であると腑に落とす。

斎藤工、市原隼人、林遣都がカラマーゾフの3兄弟を演じ、諸悪の根源の父親に吉田鋼太郎。そして、ダークホースの4番目の兄弟を松下洸平。そして、父親殺しを追い詰めていく刑事役に滝藤賢一だよ!

!!!!!!!!!!!!!!!!!

なんで見てなかった!?わし!(仕方ない、ドラマどころではなかった。2013年は私にとって忘れられないほど狂気に満ちた仕事漬けの1年だったのだ。)

 

「小公女セイラ」に続き、林遣都の出演作品ということで、古いドラマを久しぶりに見ている。しかも「セイラ」に続き古典・文芸もの。「カラマーゾフの兄弟」は、言うまでもなくロシアの文豪ドストエフスキーの大作。数年前、東大生が最も奨める(?もしくは読んでいる?)小説ということで本屋に平積みされていた時期があった。手にとってはみたが、なんだか長くで重くて、物語が面白くなる前に挫折しそうで買わなかった。(でも「レ・ミゼラブル」の時も、ちょっと我慢したらざっと一気に読めたから、読めるかな・・)

ついつい、ドラマを見る前に予習のつもりでWikiってしまい、当時のロシアの時代背景、ロシア人の志向・思想ががっつり根底にあるお話を、どのように現代の日本に置き換えて展開するのだろう、と興味津々で見始めわけだが・・・。

 

ものすごく!見応えがあった。なんて挑戦的なドラマだとも思った。当時のフジテレビ「土ドラ」枠で遅い時間に放送されたようだが、劇中に流れる数々の選曲も秀逸。Wikiによれば、「カラマーゾフ」とはロシア語で「黒く塗る」という意味らしく、父親殺しの舞台となる一家の名前も黒澤だし、場面の切り替えに頻繁に映るモノクロのカラスの画。そして全体的にとにかく暗い画面。それらの要素が、犯人捜しのサスペンス感と相まって緊迫感があり、とにかく気が抜けない。

 

今回のブログ-1の最後に書いておくが、冒頭から殺害されている父親、黒澤文蔵を吉田鋼太郎。三男の涼を林遣都。何か思いませんか?

そう!「おっさんずラブ」の恋敵2人が、偶然にも似た役名で親子として共演しているのです!(それぞれ黒澤武蔵、牧凌太ですもの。)

なんという偶然。この偶然にニヤッとしながら、そしてついこの間まで一生懸命見ていた「コタキ兄弟の四苦八苦」の滝藤賢一のすごみのある刑事、まだまだイケていなかったフレッシュな松下洸平を楽しみながら、3兄弟と吉田鋼太郎の熱演について書いていきたい。

カラマーゾフの兄弟 DVD-BOX

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「おっさんずラブ」(2016年/スペシャルドラマ)

林遣都の牧凌太ではなく、落合モトキのハセが、春田(田中圭)の相手役なんて、2017年の連ドラで林遣都に覚醒した私としては、全く見る気はなかったのだが、ふとAmazonプライムを検索していて、表示されたこともあり視聴。

 

まず、驚いたのは、設定こそ不動産会社ではなく文具メーカーで違っているけれど、黒澤部長と春田の、キモになる掛け合いがほぼ同じであること!春田は連ドラの春田よりは優柔不断ではなく、ダメ社員(お人よしとも言う)ぶりもそこまでではない。しかし一方の黒澤部長の春田を愛するトーンと勢いは、まったくぶれずに連ドラに踏襲されていた。流石、舞台の人!!!吉田鋼太郎。同じ熱量の演技を別の”いた”でも再現できるのだ。

同性愛について、春田の困惑した反応、周りの異形を見る目・・、よりこちらのほうが現実味がある。ハセ(落合モトキ)の控え目な演技もナチュラルでいい。あくまでこちらのスペシャル版は、突然二人の男性に言い寄られるモテナイ30代、春田の目線で展開し、黒澤部長や同期入社のあすか(宮澤佐江)ー 連ドラではちず(内田理央)にあたる役どころー は、物語の展開のきかっけを作る存在。

連ドラでは、登場人物それぞれの感情の揺れ、特にハセにあたる牧凌太(林遣都)の心(かなわぬ恋→アタック→身を引く→成就)がきめ細かく描かれ、というか、きめ細かく繊細に林が演じたことにより、そこのボリューム(印象)が大きくなった感がある。というより、もはやそこがメインの恋愛ドラマとなった。

スペシャル版では、ラストシーン、ハセを追いかけて、でもまだまだハセを好きなことを認められない春田に、ハセが思い余ってキスした時、”だめじゃないかも”ってつぶやいて、ハッピーエンド。(たぶん)

この、ハセを追いかけて、のくだりも、ハセが赤い服を着てスーツケースを引いているのも連ドラのラストシーンの牧と同じ。なんだかこちらが先なのだけど、既視感があり感慨深く見てしまいました。

とにもかくにも、このスペシャルドラマで、”おっさん同士の恋”を軽くコメディタッチで描きつつ、”人を好きになることの奇跡みたいに素敵なこと”を伝えてくれたからこそ翌春の連ドラが誕生したのだ!

牧凌太はそこにいなけれど、スペシャル版も見て良かった、とじんわり思えるドラマでした。「おっさんずラブ」民には、ぜひお薦め。

 

 

 

「コタキ兄弟と四苦八苦」- 7

良くできた脚本だった。と最終回を見終わってふうっっとなった。

最終回のテーマは「愛別離苦」。

ドラマの話の発端となる、離婚話で兄・一路(古舘寛治)の家に転がり込んできた二路(滝藤賢一)も嫁との仲が修復し兄の家を去り、腹違いの妹のさっちゃん(芳根京子)は、兄弟が入り浸る喫茶「シャバダバ」を辞め、歯科医の彼女の就職先の地方に引っ越すことに。

みんなバラバラになるけれど、”すべての道はローマに通じる”、腹に文字で”ローマ”と書かれた信楽焼の狸がいるコタキ家に、みんなの未来もきっと通じているのだ。

涙あり、笑いあり、最後の最後のオチも秀逸。

脚本の野木亜紀子が売れっ子脚本家であることを大いに納得した。

この金曜日が最終回だったのを確認するために見た番組公式サイトで、コタキ兄弟のコタキが、古舘寛治の古(コ)と滝藤賢一の(タキ)であることを、今更ながら知った。

面白かった!

 

「コタキ兄弟と四苦八苦」- 6

先週、不覚にもまた!レンタルオヤジの兄、小滝一路(=古舘寛治)の台詞に号泣してしまった。

 

腹違いの妹・さっちゃん(=芳根京子)がレズビアンだとわかり、無知が災いしてLGBTを理解できないまま、傷つけてしまう。別れた恋人のことで傷心のさっちゃんを応援しようと弟(滝藤賢一)の力も借りて、訥々とながらも誠心誠意吐いたセリフだ。

「そういうふうに生まれてきてしまったんだから、それを受け入れて、自分らしく生きるしかないんだ。」そんな内容だったと思う。

古舘は一切涙を流していない。(たぶん。)でも、愛する妹の苦悩を少しでも和らげ、自分らしく生きよ、と一生懸命言葉を振り絞る、いい年をしたオッサンを見て、こちらは号泣してしまったわけだ。だって、その台詞、そっくりそのまま言っている本人のための言葉だよねえ。

「スターダスト☆レビュー」の歌声が、なんとも言えず心に染みこんでいくラストの余韻。

立て続けにこのドラマにやられている。

さて、今夜はどうなるのかな。