ここ数年、毎年のことだが、夏の朝の青青としたにおいをかぐと、オジギソウに水をやる祖母の姿と共に、実家の庭や小学生の頃の夏休みを思い出す。当時「午前中の涼しいうちに宿題をしなさい」と母に言われたものだ。ところが、今年の夏は朝起きたとたんに、クーラーをかけていなかった部屋は30度近くになっている。午前中、いや早朝から蒸しかえっている。
そして、8月になってお盆前後に台風がやってくる。こちらは生暖かい風と共に、やっぱり空気の湿ったにおいがする。そしてそれは秋の到来を予測させるものだった。昔は。
ところが、最近は台風は秋を連れてくるというよりは、甚大な被害をもたらすものと化している。今年はすでに7月の頭に集中豪雨があった。そして昨日からのろのろとした台風が、ゆっくりと不気味に関東に近づいている。この台風のおかけげて関東はしばし灼熱地獄を免れていて、このひんやりとした空気で、昔の、秋を感じる野分(台風)を思い出した。でも予報では台風が過ぎて、また33度とかの日々が続くようだ。
夏生まれの私は夏が好きだし、夏に、暑さに強いと思っていた。だけど、気温が高いともともと低血圧なのに、さらに血圧を保つのが難しいらしく今年の夏は調子がよくない。ふわふわした感じの時は、突然ふらっとしたり、倒れたりしてはいかんと思い、気を確かに持って歩くことにしている。地球も温暖化し異常気象も起こり、歳を重ねて、夏が楽しいものでなくなってきた?
いやいや、嗅覚が覚えている、幼い頃の昭和ののんびりとした夏、友達と何して遊ぼうかと考えているばかりの子ども時代を毎年思い出すことができるのだから、今年の夏もそこまで悪くはない。