食べることとお金が大好きな敏腕弁護士、剣持麗子に綾瀬はるか。その助手?で居候の料理人、篠田敬太郎に大泉洋。ハズレようのない主演2人、「ミステリと言う勿れ」の後の月9ということで期待して見始めたのだが・・。
少しセピアがかった画面や、ゴージャスな邸宅など、画面随所で感じられるこだわりと、さらに事件に至る原因がやや強引で、?そんな理由で?”というオチに至るまで、前作の「ミステリ」とを引きずっている?と勝手に感じてしまった。
やや期待外れと感じつつも、1話完結の事件の横に、そもそも篠田(大泉)は何者?という謎が早くから提示され、そのなぞ解きを見守るべく視聴を続けてきたわけだが。。。
最終回の一つ手前の9話のラスト、麗子(綾瀬はるか)の圧巻の長台詞で、私はそれまでのすべてのモヤモヤを水に流した。
麗子がなぜあそこまで金の亡者なのかは説明されていないが、正義感が強く、真実を追求することに貪欲であることは確か。そしてその真逆、金銭に執着がなく、人が困っていると自分のことはおいてでも、できることをしてあげる、というまるで妖精のような男の存在。殺人犯の濡れ衣を着せられても、”透明人間になって”逃げるしか能のない篠田。大泉洋の演じた篠田は、限りなく愛おしさに溢れている。だから麗子の元彼の栄治(初回で殺されてしまう生田斗真)が、篠田を正義感の強い敏腕弁護士の麗子に託したのだ。
9話で見事、篠田にかけられた容疑が晴れ、麗子と篠田の二人のコンビは続いていくよ・・、というほぼThe endのシーンを見終わった後、とてもハッピーな気分になった。篠田という、お金や人に執着しない、ミステリー小説を愛し、美味しいものを作って食べ、何かに縛られず自由に、(透明人間ではなく)まるで妖精のように生きている人間が、この世のどこかに存在するのではないかと思えてきたから。希望も相まって幸せな気分になったのだと思う。
最後に、「ミステリ」と決定的に違うのは、作品を覆う”湿度”だ。ミステリは主人公を含む、登場人物のバックグランドが非常に重く、湿っていた。一方本作は、主人公のバックグランドを多くは語らない。カラッとしていてドライ。綾瀬はるかと大泉洋の役作りも功を奏して、見ていて楽しい気分のほうが勝った。