初回の冒頭でどうやら主人公の一人、直木(佐藤健)は、事故か事件に巻き込まれて亡くなってしまったようだ。それから彷徨える霊となって、恋人の悠依(井上真央)に会いに行き、そばで彼女を見守っている・・。
ドラマ紹介を読んで「アンチェインド・メロディ」の主題歌で有名な「ゴースト ニューヨークの幻」を思い出し、落涙必至のラブストーリーだと思いこんでいた。ところが、突然姿を消した恋人を探し悲しむ悠依の横で、直木が必至で彼女を励まそうと声をかけている姿があって、しかもまたその横で幽霊になった直木が見えてしまう刑事(松山ケンイチ)が、困った顔で立っているという画がコミカルで、ちっとも泣けない。
直木が巻き込まれたであろう事件の謎解きと、悠依と直木、二人が里親の元で中学の頃過ごした過去、さらに直木の過去などが交錯し、ラブストーリーと言うよりはミステリーの要素が強く、私にとっては願ったりだ。
佐藤健の演技がジメジメと湿っていないのがとてもいい。口下手な腕のいい料理人、たぶん家庭環境のせいで苦労して育ったであろう若者は、ちょっとやそっとて涙ぐんだりするような軟な精神の持ち主ではないのだと思う。
霊が見えることで直木と悠依の意思疎通の媒介になったり、体を直木に貸すことになったり、さんざんな目に遭う困り顔のマツケンもはまっていていい。外見まるで違うけれど、直木が体に入った時のマツケンは、さすがだねえ、と恐れ入る。(だからキャスティング、マツケンなんだ!)二人のやり取りが軽妙で、状況の深刻さとのギャップが秀逸。
始まる前、ドラマ・ウォッチャーたちが大きく期待して書いた記事を読んで私も期待したけれど、それを超えて佐藤健、井上真央、松山ケンイチのアンサンブルが最高。
モチーフが「100万回生きたねこ」。今のところ私の涙腺が緩むきっかけはこの絵本のストーリーのラストだけだ。良き。
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