レーシングカーのエンジンの開発に取り組むローラン(リノ・ヴァンチュラ)と、腕のいいパイロットのマヌー(アラン・ドロン)、金属を使ったアートで成功を夢見るレティシア(ジョアンナ・シムカス)の男2人と女1人。少し年上のローランとマヌーは親友同士、そこへ金属の廃材を求めてローランの元にきたレティシアが加わり、お互いの夢を追及しながら3人は男女を超えて友情を育む。
そして、それぞれの挫折をきっかけにコンゴの海に沈んだ財宝探しにでかける3人だったが….。
耳につく口笛(?)のテーマ曲が、青春を謳歌する者たちの、呑気さ、無鉄砲、そして儚さを象徴しているような気がした。
成功を夢見る者の焦燥感みたいなものはあまり深刻に描かれず、男2人と女1人の恋愛のもめごとも一切ない。マヌーがレティシアに対して描く恋心は、あっさりかわされ、レティシアが抱くローランへの愛情の行方もはっきりとはわからない。
コンゴの海上、船で過ごす3人は、まるで無限にある時間を贅沢につぶすように無邪気だ。もちろん、その宝探しの期待に満ちた平穏が続くわけはなく、一人の侵入者によって宝探しはより現実味を帯び、そして事件はおこる。
私のアラン・ドロンのイメージはきちんと撫でつけたヘアスタイル、シブい大人の男、日本のおば様たちに人気というものだったけれど、(というか「太陽がいっぱい」を大昔見た記憶と、最近勧められて観た「パリの灯は遠く」の印象しかない)本作で彼は20代。垂れた前髪が海風になびき、ワイルドな上裸姿がまぶしい。というか、めちゃくちゃカッコいい。昔の二枚目俳優って、ヘアスタイルやファッションや加工(!)そんなものは一切関係のない、正真正銘のハンサムであることを改めて思い知る。
財宝が手に入ったら、海に浮かぶ大きな家を買うと言ったレティシア。
それにそっくりなものが、レティシアの故郷の海に実在した時は、ちょっとファンタジックだった。あの要塞みたいな島は、本当に存在するのだろうか?(と書いて、ググると出てきました。「フォート・ボヤール」、1,800年代に作られた本当の要塞ですと!)
海。海に浮かぶ白い要塞島。一攫千金。冒険。そして固い友情。
時代も違えば国も違うけれど、青春の一片を鮮やかに切り取った、確かにmust seeの青春映画だった。
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