池松壮亮って、もはや濡れ場担?
普通の青年なのだけど、なんか言葉が上っ面で嘘くさい美容師。主人公(筒井真理子)が復讐する女(市川実日子)の彼氏という役どころだが、これ池松でなくてもよくね?と、思った。しかし、それでは誰が?と聞かれると、池松しか思い浮かばなかった。池松壮亮はこういう、登場シーン、台詞共に少ないけれど、話の中で重要な人物をとてもナチュラルに、変に役に色をつけずに演るのがうまい。
さて、主演、筒井真理子ありきの本作、最初から最後まで、筒井真理子の顔(よこがお含む)のアップがやたら多い。彼女の、その辺の商店街を歩いていそうな女の顔は、不幸にも幸福にも、弱くにも強くにも見える。彼女の心の動きを語る台詞は一切ない。ただ事件が起こって、それにまつわり周りの人の心の底が見え、本人さえ予想できない嫉妬や怒りが、一人の女性(筒井)をどんどん窮地に陥れていく様が恐ろしい。筒井真理子のよこがおは、それら全てを結局受け入れていく女の諦めと受容がにじみ出ていて、美しかった。