製薬会社の研究員で見るからに草食系男子という役が、これほどハマる俳優もいないのではないかと思える滝藤賢一。
妻を不慮の事故で無くした後、妻の残した愛車「グレース」のカーナビ履歴に導かれ、彼女が亡くなる前にたどった1週間の旅をなぞる。
見るまでは「妻を亡くした男の喪失感」「車」「旅」という設定が「ドライブ・マイ・カー」と重なったのだが、そちらは未鑑賞のため横に置いておく。
全10話、亡くなった妻の美奈子(尾野真千子)が訪れた日本各地で、出会う人々の配役が魅力的。(流石NHK)その一人に林遣都がいるので私の視聴動機となっているわけだが、最初の訪問先で登場した伊藤英明が予想を裏切らず!いい味を出していた。
がっしりした大男、脱サラして湘南で蕎麦屋を営む藤木(伊藤)は、美奈子の元カレだったわけだけれど、今夫の希久夫(滝藤)との対峙がなかなかスリリングで面白い。奪い合うべき女=美奈子は亡くなっていないわけだけれど、彼女への深い愛情やら、相手への嫉妬心やら、そして同じ女を愛し失くした変なシンパシーやら・・。複雑な感情を持て余した様子を、二人の手練れた俳優が軽妙に掛け合い、膝を打って笑った。
伊藤英明は、明るく豪快で、単細胞の男がよく似合う。(本当は違うにしても)それでいて、分厚い胸板の奥に熱い情を感じる男。サーフィンするおっちゃんの姿としてもキマッテいて、本作の2話目に彼を見たことで、ぐいっと話に引き込まれた気がした。
3話では、希久夫の過去と家族のことが明かされ、次回は美奈子の残した車、愛称「グレース」、物語では希久夫の旅のバディの蘊蓄、そしてたぶん美奈子との関係が語れるようだ。
それにしても、真っ赤なHONDAのスポーツカー。左ハンドルで逆輸入車とのことだが、どうやら知る人ぞ知る、車好きなら垂涎の車らしい。
ほろを外して湘南の海沿いを走るカッコよさは想像に難くないが、長野の山間や緑の田んぼ道を走る姿も様になる。
日本の自然豊かな地方の町も美しく、それに映える真っ赤な車も美しい。なんとも洒落たドラマだ。
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