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はやし蜜豆の犬も歩けば棒に当たる、

好きな俳優の作品を集中して観るのが好き。その記録や映画の感想、日常気になる現象をぼそぼそ綴っていきます。

「ビューティー・インサイド」(2016年)

目が覚めたら姿形がまるで別人になる男のラブストーリー。

そう聞くと、ファンタジーでコメディ要素が強い作品かと思ったけど、さにあらず。スタイリッシュな映像、ファンタジーな設定にも関わらずりリアルな情感、しっとりとしたラブストーリーだった。

 

18歳の時に朝目覚めたら女性になっていて、翌日から毎日、性別・国籍・子供・老人問わず、毎日違う姿で目覚める男、ウジン。家具デザイナーとして、彼を理解する唯一の友人と、家具のネット通販で生計を立てている。そんな彼が、自分とよく似た趣味や思考をもつ女性、イスに恋をした。3日間は寝ずに同じ姿で毎日デートができたけれど、4日目の朝食の約束は、睡魔に負けて守れなかった。それでも真実を告げて二人は交際を始めるのだけど・・・。

実に123人の俳優がウジン1役を演じていて(その中には韓国で人気の上野樹里も!)、一人の男の孤独や苦悩、友達とのほっとするやり取り、恋焦がれる思いを、観ているこちらに何の違和感もなく連続した一人の人物として魅せているのが素晴らしい。後半は、そんな男を愛したイスの苦しみが描かれ、外見は別人の恋人と過ごす楽しそうなデートの日々から一転する。

毎日違う容姿(性別さえ!)の恋人として過ごす。待ち合わせで彼を見つけることは決してできない。同僚からは目撃するたびに違う男といると疑われる・・・。彼の内面を感じようとしてもできない。内面は、外見のどこかに現れるものではないのか? 美しい心も、みなぎる闘志も、冷徹な思考やふてくされた考え方にいたるまで、長い目で見ていけばその人の外見を作る要素となるはず。だけど、このウジンの場合、毎日変わるものだから、彼の内面が彼の外見に馴染むまで1日では足らないのだろう。そう感じてつらくなるイス。彼の内面を愛したはずなのに。

 

ウジンがイスの前から消え、その後再開した時、彼本人を前にして本当にその人がウジンだとすぐに確信できないイス。しかし、彼の周りにある彼の作った家具(work)は、雄弁に彼の存在を証明していた。彼と彼の仕事を愛したイスにとって彼の家具を見つけたことは至福だったに違いない。家具はこの物語の重要なディテールになっている。そのシーンには泣けたなあ。

 

ちょと考えさせられました。人は見た目が100%。第一印象が命。そう思っているのも事実。私はこの私の外見がまるで変わった時、目の前の知人にこれはあなたの知っている私だ、とどうやって説明できるだろうか。昔、養老孟司先生が、人は人間社会で育った以上、その時代や住んでいる国によりほぼ同じような価値観や考え方を持つもので、何が人にとって唯一無二なものかと問われれば、その人の外見だと書いてあったのを読んだことがある。その外見が私を証明するものにならないのであれば、私を証明するものって何だろう?

 

イス役のハン・ヒョジュが、本当に美しい。透明感があって繊細で、彼女の揺れる心に共鳴できた。なかなか困難なラブストーリーなのだけど、ウジンと彼の親友とのやり取りがコミカルで”抜け感”があってちょうど良かった。  

ビューティー・インサイド [DVD]

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  • 出版社/メーカー: ギャガ
  • 発売日: 2017/07/04
  • メディア: DVD
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「スカーレット」- 8

主人公、喜美子(戸田恵梨香)と八郎(松下洸平)夫婦に、誰が悪いわけでもないのにどうしようもない隙間が少しずつ生じてくる・・・・。その脇で、数々の困難、というか男の方の性格に起因するものが一番大きいのだが、とにかくなかなか進展しない困難な状況を乗り越えて、結婚に漕ぎつけようとするカップル、信作(林遣都)と百合子(福田麻由子)。

このサイドストーリーがあるから、朝ドラの15分が深刻かつどんよりせずにすむ。単純に「信作、がんばれー」って応援して、1日をスタートすることができるものね。

 

本日の信作遣都。「すいか・・?」と小さい声を発しただけでほぼ台詞なし。どうしよもなく情けない自分に対して、穴があれば入りたい衝動なのだろうか、八郎の腰に抱きつき逃げ込む様は、某ドラマのクランクアップで共演者の胸に飛び込む様と、ちょっとだけ思い切りの良さが似ていた。似ていたのは思い切りの良さだけで、外も中も飛び込む位置も、飛び込み方も全然別物なのだけど。そんな昔見た残像を反芻しながら、2回再生して見ちゃいました。

 

 

 

「恋はつづくよどこまでも」

たまには、ド!イケメン全開の佐藤健を観てみたいじゃないですか!という事で初回、それでもあまり気合いをいれず視聴。

想像通り、いやそれ以上のツンデレ・イケメンぶりに、いちいち"ひえ~っ"と悲鳴をあげてしまいました。

上白石萌音の打たれ強い新人ナースも元気がでるし、今期骨太の(?)医療ドラマがずらりと並ぶなか、軽めで楽しくていいのではなかろうか。

また、連ドラによくある、1話ごとゲストを迎えて話が展開する感じでないのがいい。医療ドラマで各回ゲストが出てくると、よくそんなにその科に問題があったり、医師の近親者であったり、ものすごいレアなケースの重病人がいたりするよなあ、と時々我に返ることがあるものね。

 

軽めと書いたけど、きちんと患者と医療従事者との関係性なども丁寧にに描くみたいだし、見応えはありそうです。なんてったって小児病棟には、Foorinでお馴染みの達者な子役、住田萌乃ちゃん、循環器科には我らが「おっさんずラブ」チームから金子大地くんも入院しているものね。あ、副院長で「きのう何食べた?」の小日向さん=山本耕史も出演、要するに私の視聴動機をくすぐる俳優満載ということで、連ドラ予約してみました。

www.tbs.co.jp

 

 

「たかが世界の終わり」(2017年)

男は余命わずかと知り、その事を告げに12年ぶりに家族に会いに帰る。映画は、お昼前に主人公が実家に着き、夕方までのわすが半日の物語だ。

登場人物は、男とその兄、妹。そして母親。兄の嫁。その5人が久しぶりに会う弟を迎えながらも、ありがちな家族ならではの遠慮ない口喧嘩(その内容の多くが他愛無い)で弟の話をことごとく遮る。観る者は、なぜこの家族がこんなに仲が悪いのか、彼らのお互いへの不満(主に兄に対して妹の文句が多いのだが)はどこからくるのか、無意味な会話から必死で探ることになる。

どうやら、弟は家を出てから劇作家として成功している、それにも関わらず家には金銭的援助等いっさいしてこず、毎年家族それぞれの誕生日に短いメッセージを書いた絵葉書を送るだけだったようだ。そして彼が家を出ていったのは、彼がゲイであり、そのことを当時の家族が理解しなかったのも原因らしい。

工場に勤めながら母親と妹を養ってきた兄の、才能、そしてそれゆえに経済的にも余裕があるであろう弟への不満と嫉妬。それがいつどういう形で爆発するのか、5人の登場人物による会話劇の中、観ている方はハラハラする。そして死期が近いことを告げにきた弟は、ちゃんとそれを家族に伝えられるのか、母親と二人きりになった時でさえ言いそびれてしまって・・とこちらもヤキモキしてしまうのだった。

 

どんな言葉を言いかけても、彼の家族は、彼らの元を去って成功した才能ある弟の言葉に耳を貸そうとしない。12年ぶりに対峙する彼の前のに立つ自分の面倒をみるのに精いっぱいなのだ。

家族だからといって理解しあえるわけではない。お互いを理解しようと、場合によっては相当努力しなければ理解できないかもしれない。相当努力しても理解できない場合もあるだろう。ただ、理解しなくても愛することはできるのが母親だった。

こんな状態の家族が、弟の告白でどうにか変わるのだろうか、と期待して観続けた者を見事に裏切るラストの大げんかと収束。

弟は何度か口にした。「(夕方には)帰らなきゃ。」

家族がいる家に帰ってはみたが、そこに彼の居場所は全くなかった。家族から理解されない、理解されようともされない。こんな孤独があるだろうか。死期が近いというのに、母親にさえもそれを告げることができず、情や憐憫、うまくいけば励まし?を得ることもなく実家を後にする男。そこに救いはあるのか?と思ったけれど、そう、彼には帰らなきゃならない彼の居場所があるのだ。そう言って実家を出ていったのだから。

唯一、そこかな。彼には帰る場所があったー。

 

とにかく、俳優のアップがずっと続く。フランス・カナダの合作映画だが、フランス映画をほとんど知らない私でも、観たことある俳優(ヴァンサン・カッセル=兄、マリオン・コティヤール=兄の嫁)が出演していて、彼らを始め俳優さんたちの演技が緊迫感に溢れ素晴らしかった。 

たかが世界の終わり [DVD]
 

 

 

 

「スカーレット」- 7

ね。八郎(松下洸平)と喜美子(戸田恵梨香)の夫婦仲が不穏な感じになってきたでしょ。

でも、前回( - 6)で書いた、「10歩も20歩も下がって歩く妻に対してだからこそ、優しくて寛大な夫」=八郎というのは撤回しよう。たぶん、そういう妻としての喜美子の才能に嫉妬するのではなく、自分と同じ、陶芸家としての喜美子の才能に傷ついていることが今日の回で明らかになったから。

つらいね。本当に。スランプに陥る中、人からのアドバイスを受け入れず、自分のこだわりを捨てることのできない八郎の頑なさとプライドが痛いほど伝わってくる。松下洸平、本当に上手いと思う。

 

さて、主人公夫婦の間に不穏な空気が流れる中、サイドストーリーの信作(林遣都)と百合子(福田麻由子)のカップルは、やっと進展してきた。数々の女性に言い寄られては煮え切らず、結果振られるという、モテているのか振られているのかわからない、優柔不断な信作が、幼い頃から近くで妹のように接してきた百合子を女性として気にし始めてからかなり経っている。姉妹の父親(北村一輝)が亡くなってからのことだと思うが、ずっと川原家に寄り添い、喜美子(長女)や百合子(三女)を見守っていたのが信作なのだ。それが今日、百合子にやっと伝わってということだろうか。信作の優しが沁みたよねえ。

それにしても、結婚を前提に付き合うことを2人で多数決で決めようって、二人ともが手を挙げるシーンの微笑ましさと言ったらなかったなー。信作(遣都)の小躍りするような喜びを感じて、こちらまで1日が楽しく感じられた。これぞ、朝ドラ効果だな。(今日は土曜日だから朝に見られたってことなんだけど。)

 

「日経エンタテインメント!」(2020.2)の林遣都インタビュー記事

林遣都ファンなら読んだ方も多いと思うが、”2020年の新主役100人”の一人として、林遣都のインタビューが掲載されている。

林遣都、20代最後の年となる2020年の所信表明とでも言うべきか、私としては「よく言ってくれた!」と本当にうれしい内容のインタビュー記事だった。

 

俳優を始めてから今に至るまでの自分に対する分析、俳優として、今、そしてこれからやるべきこと。

日頃大切にしていることや、古くからの俳優仲間の池松壮亮に触れていること。

ああ、すべて俳優・林遣都が俳優たる所以。それがぎゅっと詰まった記事だった。

最後に「演じること」を極めたい、と締めくくってくれていて、あくまで演技を通して林遣都を観たい私としては、ものすごくうれしかったし、彼からますます目が離せないと決意(なんの?)を新たにした次第であります!

日経エンタテインメント! 2020年 02 月号【表紙: 乃木坂46】

日経エンタテインメント! 2020年 02 月号【表紙: 乃木坂46】

  • 作者: 
  • 出版社/メーカー: 日経BP
  • 発売日: 2020/01/04
  • メディア: 雑誌
 

 

 

 

 

 

 

「スカーレット」-6

主人公、喜美子(戸田恵梨香)の夫役、八郎を演じる松下洸平が、かなり上手い。ここ数回で益々そう思うようになった。

陶芸家=芸術家としてのこだわりと、行き詰まりの日々、自由な発想で、賞など気にしない故にのびのびと作品を創る喜美子。その上自分の知らないうちに、陶芸(釉薬)の知識まで勉強している喜美子=妻に、尊敬の念と共に軽い嫉妬を覚えた時の表情が秀逸だ。

ひたすら優しくて寛大な夫は、実は妻が自分より10歩も20歩も後ろからついて来ていたという、揺るぎない事実の上に成立していたのではないか。

八郎の今後の変化が楽しみだ。

朝から仲のいい夫婦のイチャイチャをこの1、2ヶ月見せられてきた。基本的に喜美子は超貧乏でそれが起因の不遇はあったが、出会う人には恵まれている。これまでは。

さあ、これからのはず。喜美子の本当のド根性はまだまだ発揮されていない。

八郎が主人公、喜美子に試練を課す人なのかどうかはわからないけど、松下が演じる八郎がただのいい人で終わって欲しくはないと、勝手に思う。

 

備忘録だけど、松下洸平は、喜美子の母親役の富田靖子と、舞台「母と暮らせば」(2018年、こまつ座)で共演している。二人芝居のその時の両者の演技も相当の迫力だったときく。