子どもが主役の映画はこれまであまり観なかったし、期待しないで、ただ林遣都のデビュー作にして主演作ということで鑑賞。それが想像以上に良かった。
16歳の林遣都の美少年ぶりもさることながら、そのことが一切映画の本筋とは関係ないというのがいい。ひたすら野球に没頭する中学1年生の原田巧(遣都)は、天才的ピッチャーであり、心に深い孤独を抱えながら誰とも分かち合えない野球への真摯な思いを抱いていた。その姿は孤高で美しい。マウンドに立った彼の投球に入った時のアップの顔、全身で、その崇高さを醸し出していた。これがデビュー作?
そして、彼の豪速球をキャッチできてバッテリーを組むことになった豪ちゃん(山田健太)の笑顔も最高にいい。
この作品、3000人の子どもが参加したオーディションの結果、主演のバッテリー二人と、その友人たちが決まったというが、検索してみると、やはり野球経験者が多く、投げる、取るは本当に上手だったし、少年たちの野球をしながらの自然な演技が本当に良かった。
野球部の鬼監督の萩原聖人や、祖父役の菅原文太(この人の岡山弁が実にナチュラル)など、周囲を固める大人たちが、少年たちの成長に大きく関わらないのがいい。あくまでそっと見守っている。少年たちは、その年ごろ特有の不器用さながらも関係性をはぐくみ、また、バッテリーも最後にはお互いを心から信頼できる関係になる。まさに「バッテリー」、二人の成長の物語。
原作が素晴らしいことと、やはり滝田洋二郎監督の腕なんだろうな。少年たちが本当に眩しく、素晴らしかった。ちなみにロケ地は岡山で、岡山弁も素朴で彼らの純朴さを出すのに一役買っているような気がした。
Ⓒ2007「バッテリー」製作委員会
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