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はやし蜜豆の犬も歩けば棒に当たる、

好きな俳優の作品を集中して観るのが好き。その記録や映画の感想、日常気になる現象をぼそぼそ綴っていきます。

「ウイニングボール」NHK オーディオドラマ(2011年)再放送

徳島商業高校の記録展示室には、ボールの飾っていないボール台がある。そのボール台には、昭和17年に徳島商業が夏の甲子園で優勝した時のウイニングボールがのっているはずだった・・・。

林遣都と高橋一生が、2011年と昭和17年のそれぞれの時代で、甲子園を目指して野球に打ち込む高校生、神崎(林遣都)と川上(高橋一生)を声で演じている。

神崎が2011年の野球部員が記録展示室のボール台に見入ったところで、謎の老人が飾られるべきウイニングボールを持ってきてボールをのせて去る。そのボールに触れようとしたとたん、タイムスリップして昭和17年の徳商のグランドにきてしまった神崎と、当時の徳商のキャプテン、川上が甲子園での優勝を目指し友情を育む姿を描く。神崎はウイニングボールを手にして、未来に帰還するために。川上と当時の部員たちは、戦時中でいったん中止になった甲子園が戦意高揚のために復活、最後の高校野球を闘うために。

練習の激しさは、2011年の現代の高校生のそれと、昭和17年では比べ物にならないほどキツイ。優勝への思いも、もちろん、自分の時代に帰るという神崎の願いは深刻で重いけれど、戦争中で試合後は戦地に赴かんとする青年の、最後の青春が輝く瞬間ほど尊いものもない。

50分のラジオドラマの中では、勝ち進んでいく試合の様よりも、現代と戦時中の時代背景や若者のあり様の違いに重きを置いて描いている。いかにも現代の高校生で、のびのびと育ち、明るく、自分中心(=自己を肯定し)、ノリもいい神崎に、林遣都の関西弁が活きている。対照的に高橋一生の、滅私奉公、国のために命をささげようとする川上青年の老成したかのような落ち着いた声にも説得力があった。

ラストシーン、何回も反芻して考えさせられるタイムスリップものの仕掛けがあって、面白かった。

映像がないだけに想像力が掻き立てられ、引き込まれる秀作。聴き逃し配信は、8月15日まで。

www.nhk.or.jp